Market View
先週前半、トランプ米大統領がイラン側の和平案を拒否したことで、原油供給への懸念から原油価格が上昇した。インフレへの警戒や追加利上げ観測が強まり、米国債利回りも上昇。国債で高い利回りを得られる環境では、ビットコインのようなリスク資産には資金が向かいにくく、ビットコインは一時8万3,000ドル前後まで下落した。
流れが変わったのは週後半である。米雇用統計で雇用の伸びが市場予想を大きく下回ると、追加利上げへの警戒が後退し、米国債利回りは低下。ビットコインは一時8万7,000ドルを超えた。
ただ、その後は米国債利回りが再び上昇したため、ビットコインも8万5,000ドル台まで押し戻された。雇用統計で利上げへの警戒は和らいだものの、金利上昇への懸念が消えたわけではない。
今週の暗号資産市場で最大の注目材料となるのは、10月7日に公開される米FOMC(米連邦公開市場委員会)9月会合の議事要旨だ。追加利上げに慎重な意見が多かったことが確認されれば、米国債利回りには低下圧力がかかりやすい。反対に、インフレへの警戒が強ければ、追加利上げが再び意識される可能性がある。議事要旨公表後の米国債利回りと、ビットコインが8万5,000ドル前後を維持できるかが今週のポイントとなる。
Funding Watch
1. Grass — 個人の通信回線をAI向けデータ収集に使うネットワーク
暗号資産投資会社マルチコイン・キャピタルは9月29日、AI向けの公開ウェブデータを集める分散型ネットワーク「Grass(グラス)」への投資を発表した。投資額は公表されていない。
グラスでは、参加者が使っていないインターネット回線をネットワークに提供する。グラスはその回線を経由して公開されているウェブサイトの情報を集め、AIの学習データに使える形へ整理してAI企業に販売する。参加者は回線を提供する対価として報酬を受け取る。
グラスはすでに、集めたデータをAI企業向けのサービスとして販売し、その収益でネットワーク参加者への報酬を賄う段階まで成長している。これまでに600万人超が報酬を受け取っており、売上高は2025年に1,700万ドル(約26億円)、2026年上期にも1,700万ドルだった。
2. Jumper — 複数チェーンの取引を一つにまとめるオンチェーン金融アプリ
複数のブロックチェーンを横断して取引や運用ができる「Jumper(ジャンパー)」は、9月29日から10月2日まで独自トークンJUMPの公開セールを実施した。目標調達額200万ドル(約3億円)に対し、4,800万ドル(約75億円)を超える申し込みが集まり、申込額は目標の約24倍に達した。
ジャンパーは、異なるブロックチェーン間の資産移動や交換をつなぎ、DeFiでの運用や無期限先物などにもアクセスできるオンチェーン金融アプリである。ユーザーが個別のサービスを行き来せず、複数チェーンにまたがる取引を進められるようにしている。
今回販売されたJUMPは総供給量の4%にあたる。購入分の50%はトークン発行時に受け取れ、残り50%はその後4カ月かけて順次解除される予定である。トークン発行日はまだ公表されていない。
3. Jeeves — 企業間決済でステーブルコイン利用が拡大
企業向け金融プラットフォーム「Jeeves(ジーヴス)」は9月29日、1億1,000万ドル(約173億円)の資金調達を発表した。コインファンドがリードし、コインベース・ベンチャーズやa16z、ウィンターミュートなども参加した。
企業が複数の国で事業を展開すると、銀行口座や法人カード、決済手段、通貨の異なる請求書が増え、資金管理は複雑になりやすい。ジーヴスは、こうした法人金融をステーブルコインを活用して効率化する「ステーブルコインネイティブ」な銀行プラットフォームである。法人カードやクロスボーダー送金、ドル・現地通貨口座、経費管理などをまとめて提供している。
ジーヴスによると、カードや決済を合わせた年間換算の取扱高は50億ドル(約7,873億円)を超える。そのうち、ステーブルコインで決済される取扱高は、8カ月でほぼゼロから年間換算15億ドル(約2,362億円)まで増えた。
ステーブルコイン決済の取扱高が伸びるなか、ジーヴスは今回の調達と同時に、190カ国への送金に対応するステーブルコインウォレットも発表した。ステーブルコインの利用が取引所やDeFiだけでなく、企業間の国際決済にも広がっていることがうかがえる。
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