対話型AI「ChatGPT(チャットGPT)」を提供するOpenAIは13日、開発者向けの技術例集「Cookbook」に、AIエージェントが有料のAPIをステーブルコインで購入する実装例を掲載した。米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)との共同の内容で、決済にはコインベースが提唱する「x402」を用いる。
HTTP 402応答を使い、承認済みの購入だけを実行
例として示されたのは、調達担当のエージェントが仮想の部品会社について有料APIから与信レポートを取得する場面である。アプリケーション側があらかじめ、利用を認めるデータ提供者、購入の目的、支払い上限、実行全体の予算を定めておく。レポートの価格は0.25 USDC(約40円)に設定されている。
モデルがレポートの必要性を判断すると、専用のツールを呼び出す。ここで加盟店は、HTTPの「402 Payment Required」を返す。
この402応答には、金額、資産、ネットワーク、受取先、有効期限といった支払い条件が含まれる。アプリケーションはこれを承認済みの条件と照合し、通過した場合にのみ上限付きの支払い証明を取得する。証明を添えて再送すると加盟店が200を返し、アプリケーションはレポートとともに領収書と監査履歴を記録する。
権限を4つに分離、モデルはウォレットに触れない
この構成では役割が4つに分かれている。エージェントは有料サービスが必要だと判断してツールを呼ぶ。アプリケーションは加盟店、目的、金額、承認、支出上限を検証する。決済基盤が上限の範囲内で支払い証明を生成し、加盟店がその証明を検証して内容を返す。
モデルに渡るのはリソースのURLと調査目的だけだ。承認記録、支出上限、ウォレットの認証情報、監査の状態はいずれもモデルの制御の外に置かれる。
ツールは1回の実行につき一度しか呼び出せない。
拒否される場合の挙動も2種類示されている。1つは、人間の承認がないまま同じレポートを再度要求した場合で、アプリケーションは加盟店の条件を確認できるものの、新たな支払い証明を作る前に購入を拒否する。この際、課金の回数は増えない。
もう1つは、モデルが領収書の識別子を書き換えて回答した場合である。出力の検証機構が、アプリケーションが実際に記録した購入と突き合わせ、不一致を弾く。
基盤は5月公表のAgentCore Payments
決済基盤にあたる「Amazon Bedrock AgentCore Payments」は、AWSが5月7日にプレビューとして公表したものだ。コインベースおよびストライプと共同で構築され、両社がウォレット基盤と決済のレールを提供する。利用者はコインベースのCDPウォレットか、ストライプ傘下Privyのウォレットを選び、セッション単位で支出上限を設定する。
x402は、HTTPの402を用いる機械向けの決済プロトコルである。コインベースによれば、ベース(Base)上のUSDCで約200ミリ秒での決済が可能で、1件あたりの手数料は1セント未満にとどまる。
想定されているのは1ドル未満、あるいは1セントに満たない少額決済だ。APIやデータフィード、有料記事などをエージェントがその都度購入する用途が挙げられている。
今回のCookbookでは、OpenAIのモデルをAmazon Bedrock経由で呼び出す構成が示された。
テストネット段階、資金移動は既定で無効
接続例で使われるのは、イーサリアムのレイヤー2であるベースのテストネット「Base Sepolia」上のUSDCである。実際に支払いを伴う経路を動かすには5つの設定をすべて明示的に有効にする必要があり、既定の状態では処理が飛ばされ、資金の移動は発生しない。
加盟店が200を返したことは、支払いを伴う要求が完了したことを示すにとどまる。ブロックチェーン上の決済の最終性については別の証跡が必要だとして、実装例は該当の項目を偽と記録する。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=159.4円)




