8月18日時点で43,000 BTCを保有するビットコイン・トレジャリー企業のメタプラネット(東証スタンダード市場:3350)は同日、米ナスダック上場のSuper League Enterprise, Inc.への戦略的投資を決議したと発表した。米国完全子会社が2,100 BTCと現金250万米ドルを拠出し、同社を連結子会社化する。
2,100 BTCと現金250万米ドルを第三者割当で拠出
米国完全子会社Metaplanet Holdings, Inc.が引き受けるのは、Super League(スーパーリーグ、ナスダック:SLE)が新たに発行する普通株式44,859,400株、普通株式ワラント、およびガバナンス上の権利を確保するための戦略提携優先株式100株だ。
普通株式の発行価額は1株当たり3.00米ドルで、総額は134,578,200米ドル(約215億円)。同社によると、この価格は8月17日のスーパーリーグ普通株式の終値と概ね同水準であり、ディスカウントでの資金調達を目的とするものではない。
グループはクロージング直後に議決権の約95.7%を保有する。取得する普通株式には、原則としてクロージング日から5年間のロックアップが付される。
普通株式ワラントは最大381,000,000株が対象で、行使価額3.00〜33.50米ドルの4トランシェで構成される。行使期間は10年で、行使価額は米ドル建てステーブルコインやBTCでも払い込める。全部行使すれば経済的持分は約96.2%となる。
拠出する2,100 BTCは、8月18日時点のグループのBTC保有量43,000 BTCの約4.9%に相当する。クロージング時にスーパーリーグは商号を「Superplanet, Inc.(スーパープラネット)」に変更し、ティッカーシンボルも「SUPA」へ変わる。新規上場でも完全買収でもない。
狙いは米ドル建て永久優先株式市場へのアクセス
本取引の中心的な目的は、連結ベースで自社普通株式1株当たりに帰属するBTC保有量を増やすことにある。メタプラネットはこの指標の変化率をBTCイールドと呼び、重要な経営指標として継続的に開示してきた。
同社はこれまで日本の資本市場を通じてBTCの取得資金を調達してきたが、米国市場の投資家に対して直接証券を発行する手段を持っていなかった。完了後は連結子会社となる米国上場会社を通じ、日米双方の資本市場を活用できる。
米国では近年、BTCを保有する上場企業が発行する永久優先株式に投資家需要が形成されている。満期や元本返済期日を持たない恒久的な資本で、非転換型なら普通株主の持分希薄化を伴わずに調達できる。調達資金をBTC取得に充てれば、1株当たりのBTC保有量は増える。
市場規模はまだ小さい。同社の参考資料によれば「デジタル・クレジット」の残高は160億米ドル(約2兆5,536億円)で、世界の債務市場353兆米ドルの約0.005%にとどまる。
一方で既存の発行体は実績を積み上げている。ストラテジー(旧マイクロストラテジー、ナスダック:MSTR)は6月30日現在、STRC永久優先株式を約105億米ドル(約1兆6,758億円)の規模で発行している。
ストライブ(ナスダック:ASST)のSATAは約7.8億米ドル(約1,245億円)。配当率は年率換算でSTRCが12.0%、SATAが13.0%となっている。
下落局面での値動きも公開資料で示されている。8月17日までの日次終値ベースで、STRCは2025年7月25日以降に配当調整後で18.6%上昇した。同期間のビットコインは46.5%下落している。SATAも2025年11月6日以降に37.5%上昇し、同期間のビットコインは38.7%下落した。
ただし、スーパープラネットによる永久優先株式の発行は決まっていない。変更後の基本定款で授権枠を確保するにとどまり、発行の有無、時期、規模、配当率その他の条件は、いずれもスーパープラネット取締役会が別途決定する事項とされている。
取締役9名中5名を指名、クロージングは第4四半期
クロージング直後、スーパーリーグの取締役会は9名で構成され、メタプラネットグループが5名を指名する。取締役会議長の指名権もグループが持ち、スーパーリーグはナスダック上場規則上の「被支配会社(Controlled Company)」に該当する予定だ。
マット・エデルマン氏はCEO兼社長として続投し、監査委員会は現任の独立取締役3名で引き続き構成される。既存のデジタルメディア・広告事業も、事業セグメントとして継続する。
本取引は現段階では未了である。実行にはスーパーリーグの株主による承認、デラウェア州国務長官およびナスダック・ストック・マーケットへの届出を含む、所定のクロージング条件の充足が前提となる。
株主総会とクロージングはいずれも第4四半期(10〜12月)の予定で、同社は本取引が連結業績に与える影響は限定的と見込んでいる。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=159.6円)




