クジラの取引がUSDT送金額を押し上げる
オンチェーンデータ分析プラットフォーム「CryptoQuant(クリプトクオント)」のアナリスト、Maartunn氏は12日、TRON(トロン)ネットワーク上でのステーブルコインUSDTを用いた活動が記録的な水準に達しているとの分析を発表した。
Maartunn氏が示したデータによれば、トロン上におけるUSDTの月間送金額は2025年5月に過去最高の6,945億4,000万ドル(約99.97兆円)を記録。そのうち約59%は、クジラ(大口投資家)による100万ドル超の取引が占めた。

Maartunn氏の分析では、トロンがステーブルコインの主要なプラットフォームとしての地位を確立したことも示された。5月、トロン上で発行されているUSDTの時価総額は757億ドル(約10.89兆円)に達し、長年トップだったイーサリアム上のUSDT(ERC-20)の714億ドル(約10.27兆円)を上回った。これにより、トロンはすべてのブロックチェーンの中で、最も多くのステーブルコインをホストするネットワークとなっている。

大規模な資金の流れは、新規発行の額にも表れている。2025年に入ってから半年足らずで、トロン上では10億ドル(約1,439億円)規模のUSDTの新規発行(ミント)が17回も行われており、機関投資家レベルでの大規模な需要が常態化していることがうかがえる。また、ネットワーク全体の活動も活発化しており、トロンネットワーク全体の累計トランザクション数は105億件を突破している。
これらのデータは、ステーブルコイン、特にトロン上のUSDTが、暗号資産(仮想通貨)業界における大規模な価値の移転と決済の基盤として、その重要性を増していることを示している。ステーブルコインの発行額やトランザクション数は、市場全体の盛り上がりを示す重要な先行指標ともなり得るため、今後もその動向が注目される。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=143.94円)