円建てステーブルコインJPYCが、飲食チェーンでの決済手段として初めて導入される。日本経済新聞の報道によると、デジタルウォレット開発のハッシュポートは4月7日から、お好み焼き専門店「千房」の2店舗でJPYC決済を開始する。
万博アプリ由来のウォレットで決済
対象となるのは千房の千日前本店と有楽町ビックカメラ支店。利用者はレジ横のQRコードをハッシュポートウォレットで読み込むことで飲食代を支払える。手数料は無料だ。千房は決済データと連動した来店履歴の可視化や顧客データの蓄積を通じ、マーケティング強化につなげる狙いがある。
ハッシュポートは2018年創業で、大阪・関西万博の公式アプリ「EXPO2025デジタルウォレット」の開発元として知られる。万博終了後にハッシュポートウォレットへ名称変更し、ダウンロード数は110万を超えている。万博で培ったユーザー基盤を、ステーブルコイン決済のインフラとして活用する格好である。
今回は実証実験と位置づけられており、結果を踏まえて対象店舗の拡大やドル建てステーブルコインUSDCでの決済導入も検討するとしている。
JPYCの実店舗決済をめぐっては、すでに複数の大型プロジェクトが動いている。りそなホールディングス・JCB・デジタルガレージ・マイナウォレットの4社は2月24日〜3月2日にかけて、デジタルガレージ運営の「Pangea Café & Bar」でJPYCとUSDCの両方を使った店舗決済の実証実験を実施済みである。TISもJPYCとの間で「ステーブルコイン決済支援サービス」の基本合意を締結しており、2026年春〜夏のPoC(概念実証)を経て年内の正式提供を目指している。
JPYCは資金移動業者のJPYC株式会社が2025年10月27日に発行を開始した日本初の規制準拠型円建てステーブルコインで、預金および日本国債を裏付け資産として日本円と1対1で価値が連動する。しかし、発行開始から約半年が経過した現在も、直接決済できる店舗は極めて限定的である。世界のステーブルコイン時価総額が約51兆円に達する中、円建ての比率は1%に満たない。飲食店やホテルなどリアル店舗への浸透が普及の最大の課題となっており、今回の千房での実証はその試金石となる。
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