米決済大手「Visa(ビザ)」は16日、米国でステーブルコイン「USDC」を用いた決済清算を開始したと発表した。清算はSolana(ソラナ)ブロックチェーン上で行われ、米国内の金融機関がビザとの清算をUSDCで実施できるようになる。ビザのステーブルコイン決済清算は11月時点で年間35億ドル(約5,413億円)規模に到達しており、大手決済ネットワークによる本格活用として注目される。
金融機関向けにオンチェーン清算を提供
今回の取り組みでは、ビザが運営する決済処理・清算ネットワーク「ビザネット」を利用する米国のカード発行会社およびアクワイアラーが対象となる。これらの金融機関は、従来の法定通貨に代わり、米サークル社が発行するステーブルコインUSDCを用いてビザとの清算を行うことが可能となった。
USDCによる清算は、ソラナブロックチェーン上で実行される。これにより、金融機関はブロックチェーンを活用した迅速な資金移動が可能となり、週末や祝日を含む7日間の清算に対応する。なお、消費者が利用するクレジットカードや決済体験に変更はない。
初期の参加銀行として、クロスリバー銀行とリード銀行の2行がUSDC清算を開始している。両行はソラナ上でビザとの清算を開始しており、ビザは今後、米国における対象金融機関を段階的に拡大し、2026年までに広範な提供を目指すとしている。
また、ビザはサークル社が開発する新たなレイヤー1ブロックチェーン「Arc(アーク)」の設計パートナーも務めている。アークは現在パブリックテストネット段階にあり、ビザのグローバル商業活動をサポートするためのパフォーマンスとスケーラビリティを備えた設計となっている。
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将来的にはアーク上でのUSDC清算や、ビザ自身によるバリデータノード運用も計画されており、オンチェーン清算の選択肢拡大が視野に入る。
ビザは2021年からUSDC清算の実験を開始しており、現在は中南米、欧州、アジア太平洋、中東・アフリカを含む複数地域でステーブルコイン決済清算のパイロットプログラムを展開している。11月時点で年間35億ドル(約5,413億円)規模に到達し、2023年に主要決済ネットワークとして初めてステーブルコイン清算を開始して以来、大きなマイルストーンを達成した形だ。
今回の取り組みはUSDCが投機用途にとどまらず、金融機関間の清算という実務領域で利用されている点を示している。米国で大手決済ネットワークがUSDCを清算手段として採用したことは、ステーブルコインの制度的利用が進展していることを示す事例といえる。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=154.67円)




