米上場企業最大のAIトークンホルダーを目指す
米国のフィットネス機器メーカー「Interactive Strength(インタラクティブ・ストレングス)」(ナスダック:TRNR)は11日、AIに特化した暗号資産(仮想通貨)「FET」の取得を目的とした最大5億ドル(約725億円)の資金調達契約を締結したと発表した。調達された資金は、全額をFETトークンの取得に充てる計画である。
初期資金として5,500万ドルを確保
インタラクティブ・ストレングスはすでに、プライベートエクイティファーム「ATW Partners」および仮想通貨マーケットメーカー「DWF Labs」から投資された5,500万ドル(約80億円)の初期資金を活用し、FETトークンの取得を開始している。
この取り組みにより、同社は米国の上場企業として最大規模のAIトークン保有企業となる見込みだ。なお、FETトークンは現在、CoinMarketCapで時価総額ランキング49位に位置し、時価総額は約19億ドルとなっている。
「AI×仮想通貨」で長期戦略を加速
インタラクティブ・ストレングスは、CLMBRやFORMEといったブランドを通じて、専門性の高いフィットネス機器やデジタルフィットネスサービスを提供している。同社のCEOであるトレント・ワード氏は、「仮想通貨は世界の金融インフラの中核を担う存在になりつつあり、AIは我々の時代における最大の技術的革新だ」と述べ、今回の戦略が株主に対する長期的な価値創出につながると強調した。
Fetch.aiとの提携でAI活用を拡大へ
今回の契約には、FETの発行元であり、人工超知能アライアンス(ASI)のメンバーでもある「Fetch.ai(フェッチ・エーアイ)」との技術連携も含まれている。今後、インタラクティブ・ストレングスのフィットネス製品に、フェッチ・エーアイのAI技術が導入される計画だ。
この技術連携の背景には、フェッチ・エーアイが持つ高度なAI基盤がある。同社の技術は、医療研究、エネルギー、物流、金融といった重要産業を最適化するAIエージェントを支えている。さらに、フェッチ・エーアイは世界初の自律型行動に特化した分散型大規模言語モデル(LLM)を有しており、単なる情報生成を超えた応用を可能としている。
企業がビットコインを財務資産として保有する動きは一定の広がりを見せているが、AIトークンに特化して戦略的に取得する事例は極めて珍しい。AIと仮想通貨という二大先端技術を掛け合わせた今回の取り組みは、技術と金融の両面で新たな挑戦といえる。これは単なる投資にとどまらず、トレンドの先端を行く企業戦略として注目に値する。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=約144.89円)