USDT発行元テザー、自社株のトークン化を検討──200億ドル調達で投資家に流動性確保

JinaCoin編集部
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Highlights
  • ステーブルコイン発行企業テザーが、最大200億ドル(約3.1兆円)の資金調達に伴い、自社株のトークン化や自社株買いを検討していると12月12日、ブルームバーグが報じた。
  • 既存株主が目標評価額5,000億ドル(約75兆円)を大幅に下回る2,800億ドル(約43兆円)で売却を試みたため、テザーが介入して阻止した。
  • IPO時期が不透明な中、投資家の出口戦略としてトークン化による流動性提供を模索。ソフトバンクやアーク・インベストなど大型投資家の誘致にも不可欠な施策となる。

ステーブルコイン「USDT」を発行するTether(テザー)が、自社株式をブロックチェーン上で「トークン化」することを検討していることが明らかになった。12日、ブルームバーグが報じた。同社は現在、最大200億ドル(約3.1兆円)規模の資金調達を進めており、調達完了後の投資家に対する流動性確保の手段として、自社株買いやトークン化といった選択肢を模索しているという。

この検討の背景には、既存株主による株式売却を巡る騒動がある。テザーは評価額5,000億ドル(約75兆円)を目指して調達を行っているが、ある株主がこれを大幅に下回る2,800億ドル(約43兆円)相当で売却を試みた。テザーは安値での放出が評価額を損なう恐れがあるとして介入し、この計画を阻止した。

テザーは新規株式公開(IPO)の時期を明確にしていない。そのため、新規および既存の投資家は株式売却という出口戦略の見通しが立たない状況だ。こうした中で、会社を通さずに株式を手放そうとする動きが表面化した。

そこで浮上したのが、会社が管理する形での流動性提供という解決策だ。テザーが問題視したのは、自らが関与できない場での「無秩序な安値売却」である。これを放置すれば、進行中の資金調達にも悪影響が出かねない。

検討中のトークン化や自社株買いは、資金調達完了後にテザー主導で行われるプロセスとなる。これにより、不当な価格崩壊を防ぎつつ、投資家に正規の換金手段を提供できる。この仕組みは、現在交渉中とされるソフトバンクグループやアーク・インベストメンツといった大型投資家を呼び込むためにも不可欠だ。

現在のRWA(実物資産トークン化)市場規模は約180億ドルに過ぎない。評価額5,000億ドルのテザーが自社株をトークン化すれば、市場規模を一気に拡大させるだけでなく、業界巨人による決定的な実証となる。これは未公開企業がIPOに頼らず独自に流動性を確保する「新たな出口戦略」の確立を意味し、既存の金融システムに対する歴史的な転換点になり得るだろう。

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