生命科学のクラウドファンディングをトークン化
DeSci(分散型科学)で注目される「Pump Science(パンプサイエンス)」は25日、トークンエコノミー設計の完了と独自トークンBIOのエアドロップ計画を発表した。
DeSciのキーワードは「生命科学の民主化」。パンプサイエンスは、トークンの売買手数料を研究資金に回し、その結果が出ればさらに新しいトークンで資金を募るという新しい循環モデルを構想している。
BIOエコシステムは、専門性が高く、従来は国や特定の機関の助成金に頼りがちだった分野に対しても、個人レベルの小口投資やトークン経済を通じて支援を呼び込むことを可能にする。いわば「ラボのクラウドファンディングのトークン化」ともいえる流れだ。
BIOエアドロップがもたらす強靭なコミュニティ
多くの投資家が期待する「エアドロップ」は、コミュニティを盛り上げる絶好の手段である。トークンが無償配布されることで、新規ユーザーの参加が促進され、結果的に需要が増加する可能性がある。しかし、パンプサイエンスのエアドロップは単なる短期的な需要の増加を狙うものではない。
この仕組みの背景には、研究開発の資金確保や新トークン発行などへつなげたい思惑がある。最終的な価格動向は需要と供給に左右されるが、適切に運営されれば大きく成長する余地がある。
新トークンが生む連鎖スキーム
パンプサイエンスは、すでに発行済みのRIFやUROなどのトークン保有者に対し、新たにBIOなどのトークンを付与する仕組みを導入している。これはいわゆる「トークンを持っていれば次のトークンも手に入る」という連鎖スキームであり、コミュニティが継続して拡大していく好循環をもたらす可能性を秘めている。
この仕組みが永続的に機能するかどうかは、流動性の確保やプロジェクト全体の人気次第だ。
マーケットキャップと研究費の現実的な設定
パンプサイエンスのライトペーパーでは、「ハエ実験」から「ネズミ実験」、さらには「ヒト実験」まで、必要とされる費用とそれに対応する目標時価総額を明示されている。たとえば、ハエ実験であれば時価総額50万ドル程度で十分だが、ヒト実験となると1億ドル以上を想定している。
このように、現実的なラインを設定して研究を進める方針は、よくある「草コインで億り人」の謳い文句とは一線を画す。複数の分析法を用いて現実的かつ達成可能なハードルを設定しようとしている点が特徴的だ。
今後の展望
「実験費用が本当に集まるのか」「既存トークンの保有者だけが得をするのではないか」といった疑問はつきまとうが、コミュニティが十分に盛り上がれば高い可能性が開かれるだろう。また、一時的なバブルに振り回されないためにも、手数料ロックやリスクマネジメントへの取り組みは欠かせない。
DeSciという新しい潮流には大いなる生命ロマンがあり、研究者・投資家双方の視線を集めていることは確かだ。
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