Telegramウォレットがライトコインに対応|アプリ内で売買可能に

木本 隆義
13 Min Read

対応通貨は今後順次拡大へ

ライトコイン財団は25日、メッセージングアプリ「Telegram(テレグラム)」の組み込み型暗号資産(仮想通貨)ウォレットに、ライトコイン(LTC)が新たにサポートされたと発表した。

本ニュースは、一見「地味」な印象を受けるかもしれないが、実は非常に大きなインパクトを持つ。近年のメッセージングアプリと仮想通貨の融合トレンドには目を見張るものがある。たとえば「LINE(ライン)」や「WeChat(ウィチャット)」などが独自トークンを発行し、決済機能に手を伸ばしているが、テレグラムの今回の動きはさらに踏み込み、「誰でも簡単に仮想通貨を送れる」世界を実現しようとしている点で注目に値する。

ライトコインといえば、ビットコインの「弟分」と呼ばれることが多いが、ブロック生成速度が4倍速く、取引手数料も安いため、実は日常決済に非常に向いている。たとえばビットコインで送金しようとすると、ネットワークの混雑具合によって手数料が跳ね上がり、送金時間が読みにくい場合がある。しかしライトコインはその名のとおり軽快で、「デジタルシルバー」の異名にふさわしい速さと実用性を備えている。そこに、世界で10億近いユーザーを抱えるテレグラムが連携したことは大きな可能性を秘める。日本ではやや馴染みが薄いが、中東やロシアなどを含む各国で非常に多くのユーザーを持つ点を考えると、その影響力は小さくない。

もっとも、「外部ウォレットへの送金がまだできない」「米国在住ユーザーは規制のため利用不可」といった課題はある。それでも、テレグラム内でライトコインをチャット感覚でやり取りしたり、クレジットカードで手軽に購入できたりする未来がすぐそこまで来ている。もしオンラインショップがライトコイン決済に対応するような流れが広がれば、実需の拡大につながるだろう。

そもそもテレグラムは、TON(トン)プロジェクトのコミュニティが独立して開発を継続しており、さまざまな通貨を順次追加しながら、仮想通貨界の新たな“スーパーアプリ”を目指している節がある。ウォレット機能の強化によって、今後2ヶ月以内に50種類以上のトークンに対応するという噂もあり、ライトコインはその「先鋒」にあたる存在だ。

この流れが普及すれば、人々が「仮想通貨を使う」という行為のハードルは大きく下がるだろう。たとえば「先ほどの食事代をライトコインで支払う」といった具合にすばやい決済ができ、送金相手はテレグラムのIDを指定するだけでよい。ウォレットアドレスのコピーや手数料の確認といった従来の手間もほとんど要らない。実際に使われる仮想通貨が増えれば、これまで投機対象とみなされがちだった市場に実需が生まれ、価格の安定や認知度の向上にも貢献する可能性がある。

今後の展開としては、テレグラムが他の主要コインを取り込むことはほぼ確実であり、ユーザー同士の個人送金や売買にライトコインが積極的に使われるかどうかが注目される。新興国を中心に「銀行口座より先に仮想通貨ウォレットを持つ」層が急増する可能性は十分にあり、そうした動きがライトコインの利用拡大を後押しすれば、市場価格にもプラス要因となるだろう。

米国在住者など規制のきびしい地域ではハードルがあるものの、メッセージングアプリと仮想通貨の融合は始まったばかりであり、今後どのような展開を見せるかは未知数だ。いよいよ面白い時代になりそうである。

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フリーエコノミスト。仮想通貨歴は9年。Liskで大損、BTCで爆益。タイの古都スコータイで、海外進出のための市場調査・戦略立案・翻訳の会社を経営。1973年生。東海中高、慶大商卒、NUCB-MBA修了。主著『マウンティングの経済学』。来タイ12年。
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