EU圏内の中央銀行、準備金としてビットコインは不適当=ラガルドECB総裁

ヤマダケイスケ
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画像はEuropean Central Bank公式YouTubeより引用

チェコ中銀の準備金多様化にECBが難色

ECB(欧州中央銀行)のクリスティーヌ・ラガルド総裁は30日、記者会見にてEU(ユーロ圏)の中央銀行の準備資産としてビットコインを含める可能性を強く否定した。この発言は、暗号資産(仮想通貨)業界や金融市場に大きな影響を与えている。

この議論の発端は、チェコ国立銀行(CNB)のアレシュ・ミフル総裁が、準備金の分散化を進めるため「追加の資産クラスを検討するべき」と発言したことにある。ミフル総裁は29日の時点で、「ビットコインは分散投資の観点から興味深い資産だが、現時点ではあくまで分析と議論の段階であり、決定は差し迫っていない」と述べていた。

そして、30日に開催されたCNBの理事会では、「準備金の一部を他の資産に投資する可能性を分析する」という提案が承認された。ただし、ビットコインの採用については何も決定されておらず、あくまで「資産分散の選択肢のひとつとしての分析」にとどまっている。

これに対し、ラガルド総裁は同日のECB理事会後の記者会見で、チェコ国立銀行の提案を一蹴。「いかなる中央銀行においても、外貨準備金にビットコインが組み込まれることはないと確信している」と発言した。さらに、「準備資産は流動的かつ安全性が高いものであるべき」と述べ、この点についてミフル総裁も同意したとされる。ただし、ミフル総裁が「ビットコインを準備資産に含めないことに同意した」との発言はなかった。

今回のラガルド総裁の発言は、仮想通貨推進派の落胆を誘った。仮想通貨マイニング事業を展開する「Riot Platforms(ライオット・プラットフォームズ)」のリサーチ担当副社長であるピエール・ロシャール氏は、「ECBにはビットコインを理解している新しい総裁が必要だ」とコメントし、ラガルド総裁の発言に対して不満をあらわにした。

一方、米国ではビットコインの準備金法案の提出が着々と進んでいる。イリノイ州では29日、州下院議員ジョン・カベロ氏が「戦略的ビットコイン準備法(HB1844)」を提出。この法案では、州が管理するビットコインを最低5年間保有することを義務付ける内容が盛り込まれている。

ドナルド・トランプ大統領の政権下で仮想通貨の規制緩和が期待される中、今回の一件により、米国と欧州のデジタル資産に対する姿勢の違いが改めて浮き彫りになった。中央銀行の安定性を重視するECBと、仮想通貨を金融資産の一部として取り込もうとする一部の国々との間では、今後も議論が続く可能性が考えられる。

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仮想通貨やBCGをメインに執筆活動を行うWebライター。2021年、ビットコインの大幅な値上がりに興味を持ち、仮想通貨の世界に参入。Binance、Bybitをメインに現物取引やステーキングサービスを活用し、資産運用を進めている。
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