FTX、KuCoinを提訴 5,000万ドルの資産凍結解除を求める

中井 純
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破綻した仮想通貨取引所、債権者への返済に向け資産回収を強化

破綻した暗号資産(仮想通貨)取引所「FTX」の子会社「アラメダ・リサーチ」は28日、大手仮想通貨取引所「KuCoin(クーコイン)」に対して、 5,000万ドル(約76.5億円)を超える資産の凍結解除を求め、デラウェア州連邦破産裁判所に提訴した。訴状によると、該当資産はFTXの破綻直後にクーコインによって凍結されたもので、当初は約43億円相当だったが、市場の変動により現在は約76.5億円以上に価値が上昇している。

仮想通貨ニュースメディア「コインテレグラフ」によると、アラメダ・リサーチはFTX破綻以前からクーコインを含む複数の仮想通貨取引所に口座を開設し運用していた。そして、2022年11月11日及び14日にFTXが破産を申請した直後、クーコインの口座に約43億円相当の資産があることを確認したが、クーコインはその口座をロックしたため、FTXは資産にアクセスできない状態となった。

訴状では「クーコインのCEOや法務チームに直接連絡を取るなど、資産返還を求めるさまざまな試みを行ったが、クーコインは正当な理由なくFTXの要請を無視し続けている」としている。

FTX側は、クーコインの行為が米国破産法に違反すると主張し、以下の2つの訴因を主張している。

  • クーコイン保有の資産はFTXの破産財団に属するため、破産法542条に基づき、FTXに引き渡されるべきである。
  • クーコインの資産返還拒否は、破産手続きの自動停止規制の違反に該当する。

FTXは、裁判所に対して、「クーコインに資産の引き渡し、遅延による損害賠償、弁護士費用および訴訟費用の支払いを命じること」を求めている。

この訴訟は、FTXが債権者への弁済資金を確保するために積極的に資産回収を進めていることを示している。FTXは10月初旬に裁判所の承認を得た再建計画に基づき、事業停止と資産分配を進めている。この計画では、FTXが破綻時の資産価値に基づき、債権者の98%に対して請求額の最大119%の返済を目指す。

また、10月24日には仮想通貨取引所「Bybit(バイビット)」との間で2億2,800万ドル(約349億円)の和解に達し、返済資金の確保に努めている。

この訴訟は仮想通貨業界に以下の影響を与える可能性がある。

  • 破産処理における仮想通貨資産の取り扱いに関する重要な先例を作る。
  • 取引所間での資産凍結や返還に関する法的枠組みの明確化につながる。
  • 業界全体の透明性および規制の必要性を浮き彫りにする。

現在、クーコインはこの訴訟に対する公式なコメントを発表していない。業界関係者は、この法的争いの結果が仮想通貨市場全体の信頼回復につながる可能性があるとして、その進展を注視している。

FTXは2022年11月の破綻により、当時世界第3位の仮想通貨取引所として100万人以上のユーザーに影響を与えた。破綻後には、約724億円相当の資金が「不正な取引」によって引き出されるなど多くの問題が明るみに出ている。

今回の訴訟は、FTXの破産処理が新たな段階に入ったことを示している。債権者への返済を最大化するためのFTXの積極的な資産回収努力が、今後の仮想通貨業界の健全化にどのような影響を与えるか、引き続き注目される。

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情報ソースアラメダ・リサーチ訴状 / コインテレグラフ

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中井 純、工学博士 AIは30年以上、web3(仮想通貨)は3年以上フォロー。web3x生成AIには早くから注目し、ビジネスチャンスを研究。東大応用物理学科卒業後、ソニー研究所にて、CD、AIなどの研究開発に従事。MITの電子工学博士取得後、外資系社長を歴任。最近はハイテク・スタートアップの資金調達支援を手がけるかたわら、自らweb3x生成AIのライターとして活躍。技術的なことも分かりやすく、ユーザー目線で解説することが得意です。著書2冊。
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