5月19日付で採用、業界のメインストリーム化を象徴
大手暗号資産(仮想通貨)取引所を運営する「Coinbase Global Inc.(コインベース・グローバル)」(NASDAQ:COIN)が12日(米国時間)、米国の主要株価指数であるS&P500指数の構成銘柄に採用されることが発表された。
仮想通貨企業がS&P500指数に採用されるのは史上初であり、これは業界にとって大きな節目と受け止められている。この発表を受け、コインベースの株価は12日の時間外取引で一時10%以上急騰した。
S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスのプレスリリースによると、コインベースは「Discover Financial Services(ディスカバー・ファイナンシャル・サービシズ)」に代わり、S&P500指数に採用。指数への組み入れは、2025年5月19日の取引開始前に有効となる。
S&P500指数は、米国株式市場の時価総額の約80%をカバーするとされる代表的な株価指数であり、これに採用されることは、企業の規模、流動性、そして財務の健全性などが一定の基準を満たしたことを示す。仮想通貨が伝統的な金融市場においてその存在感を増し、メインストリームの投資対象として認知されつつあることを象徴する出来事と言えるだろう。
CEOは仮想通貨業界のさらなる地位向上に自信
S&P500指数への採用は、同指数に連動する多数のインデックスファンドやETF(上場投資信託)が、コインベース株をポートフォリオに組み入れることを意味する。これにより、機関投資家や個人投資家からの資金流入がさらに加速するとの期待が高まっている。
資産運用会社「Bitwise(ビットワイズ)」のシニア投資ストラテジストであるフアン・レオン氏は、Xで、S&P500採用に伴うインデックスファンド等からの買い需要は「日々の平均取引高の約7倍に達する規模になる」との試算を示し、その影響の大きさを指摘した。
コインベースCEOであるブライアン・アームストロング氏は自身のXで「このマイルストーンは、個人投資家から機関投資家、そして我々の従業員やパートナーに至るまで、真の信奉者たちがずっと認識していたことを表している。仮想通貨は確固たる地位を築いたのだ」と力強く宣言した。
そして、「私の目標は、5年から10年後には、”COIN50指数”に採用されることが、今回のS&P500採用と同じくらい素晴らしいと感じられるようにすることだ」と述べた。これは、数年後には株式市場で”仮想通貨企業指数”が作られるだろうという展望を語ったものだ。
2021年の直接上場以来、コインベースはビットコインの価値上昇や現物ビットコインETFの承認といった市場の追い風を受けつつ、米国の金融システムにおける役割を拡大させてきた。今回のS&P500指数採用は、コインベースにとって大きな前進であると同時に、仮想通貨業界全体の信頼性向上と、伝統金融市場とのさらなる融合を促進する歴史的な出来事として、市場関係者から大きな注目を集めている。
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