ビットコイン建玉増加でトレンド反転の兆し──今週はマクロ動向が焦点

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Highlights
  • ビットコイン価格調整局面でもロングポジション積み増しの動き、トレーダーのリスク選好高まる
  • 建玉残高とファンディングレートが上昇、短期的なトレンド反転の可能性を示唆
  • 今週は雇用統計・CPI・PCEなど重要マクロ指標が相次ぎ、ビットコイン市場の方向性を左右

ビットコインは直近安値である8万4,000ドルを試す展開が続いたが、サポートがしっかりと機能し、17日は4日ぶりに陽線を確定した。オンチェーンデータからも市場心理改善の兆候は見られているが、一方で短期的にはリスクの高い局面に突入するとの指摘もある。

価格調整局面でもロング積み増し、市場心理は改善か

オンチェーン分析企業のクリプトクオントは17日、公式Xにて「現在ビットコインはマクロ環境の影響下にある」と投資家に向けて注意を促した。

直近のビットコイン市場では、価格とオープンインタレスト(建玉残高)の関係に注目すべき変化が見られている。前回のFOMCを前に、利下げ期待を背景としてビットコインは一時反発したが、その局面では建玉残高がむしろ減少していた。これは、直近の上昇が先物主導ではなく、現物需要によって支えられていたことを示唆している。

しかしその後すぐに価格が下落していることから、ビットコインが持続的な上昇トレンドに入るためには、スポット買いだけではなく、先物需要に伴う建玉残高の拡大が必要だ。

そんな中、足元ではビットコインの価格が下落したにもかかわらず、建玉残高が増加するとともに、資金調達率も上昇。軟調な相場の中でも、トレーダーがロングポジションを積み増している状況がうかがえる。

価格調整中に建玉が増える動きは、リスク選好の高まりと投機的ポジションの積み上がりを示唆している。この状態が続けば、短期的なトレンド反転の原動力にもなり得るだろう。ただし直近の市場環境を考えると、ビットコインの需給指標以上に、マクロ経済イベントの影響力が大きくなる局面に入っている。

特に今週は、米国政策金利の動向に大きく影響する、雇用統計(NFP、失業率)、消費者物価指数(CPI)、個人消費支出(PCE)といった主要指標に加え、日本銀行の金融政策決定も控えており、市場のボラティリティが高まりやすい局面に入る可能性が高い。

建玉残高の増加は前向きな兆候ではあるが、ビットコインを含むリスク市場は米国の利下げ動向に左右されるため、短期的にはマクロ環境が主導権を握る週となる、というのがクリプトクオントの見立てだ。

オプション市場は高ボラティリティを警戒

オンチェーン分析企業のグラスノードは17日、公式Xにてオプション市場の動向を背景とした、今後の相場展開についての見解を投稿した。

数週間前にビットコインが急落し、価格が8万ドル前半のレンジに差し掛かった局面において、オプション市場ではリスク回避を目的としたプット(下落に備える権利)への需要が目立って高まった。同時に、将来的なビットコインの予想価格は大きく分散しており、市場の先行き不透明感が拡大している。

とはいえ、現在は極端な急騰・急落を想定する見方はやや後退し、一旦は相場が落ち着きを取り戻したように見える。ただし、注意すべきはオプションのインプライド・ボラティリティ(IV)が、依然として高水準にある点だ。直前の半年間は例外的にボラティリティが低い状態だったが、現在は明確に水準が切り上がっていることから「再び高ボラティリティ相場へ移行する可能性がある」とグラスノードは結論づけている。

足元では底堅く見えるビットコイン市場だが、今週においてはファンダメンタルズ・オンチェーンデータ双方の観点から見て、高いボラティリティに注意が必要だ。

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ブロックチェーン関連をメインに活動するウェブライター。家庭教師、高校教師を経て英会話スクールの運営に携わるが、2020年、コロナ禍をきっかけにライターに転身。これまでに十数件のメディア・仮想通貨系Youtubeチャンネルの運営に関わる。ファンダメンタル・テクニカル分析を得意とし、自身も仮想通貨トレードで資産運用中。特にブロックチェーンを活用した国際送金やトークン化事業(RWA)に強い関心を持つ。 保有資格:英検準1級
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