前日に清算危機を回避も、翌日ポジションの一部が清算
ハイレバレッジ取引で知られる暗号資産(仮想通貨)トレーダーのジェームズ・ウィン氏が、4日のビットコイン価格下落により、約2,500万ドル(約36億円)相当の損失を被ったことが、仮想通貨メディア「The Block(ザブロック)」の報道で明らかになった。なお、ウィン氏は前日にも清算危機に瀕していたが、一時的に回避していた。
ウィン氏は、5月に分散型デリバティブプラットフォーム「Hyperliquid(ハイパーリキッド)」で、ビットコインのハイレバレッジ取引を行い、1億ドル(約142億円)以上の損失を出したことで注目を集めた人物である。
「moonpig」としても知られる同氏は、その後もFartcoin(ファートコイン)、PEPE(ペペ)、TRUMP(トランプコイン)といったミームコインでハイリスクな取引を繰り返し、5月末には口座残高がわずか37ドルにまで減少していたと報じられている。
The Blockの記事によれば、ウィン氏のポジションの一部が強制精算されたものの、依然として約8,200万ドル相当(約117億円)のビットコインロングポジションを40倍のレバレッジで保有しており、清算価格は103,930ドルに設定されているという。なお、執筆時点でのビットコイン価格は、105,028ドルとなっている。
ポジションの一部が強制清算されたと報道された同日、ウィン氏は自身のXアカウントで、「マーケットメイカーが意図的に価格を操作している!」と主張。さらに、大手仮想通貨取引所「Binance(バイナンス)」の元CEOであるチャンポン・ジャオ(CZ)氏に対し、「急いで(価格操作の影響を受けない)『ダーク流動性DEXプール(dark liquidity dex pool)』を作ってくれ」と訴えた。
ただし、ウィン氏が主張する市場操作の具体的な証拠は提示されておらず、この投稿については、多額の損失に対する泣き言のようなものと、フォロワーからは見られているようだ。
ウィン氏はハイレバレッジトレーダーとして一躍市場の注目を集めるようになったが、その一連の行動や発言に対しては、さまざまな見方が出ている。
仮想通貨取引所「BitMEX(ビットメックス)」の元CEOであるアーサー・ヘイズ氏は、ウィン氏の活動がハイパーリキッドのマーケティング戦略の一環である可能性や、同プラットフォームのエアドロップを見据えた意図的なパフォーマンスである可能性を指摘している。
その他にも、ウィン氏がプラットフォームへの注目を集めるために、何らかの報酬を得て活動している可能性を指摘する声もあり、その言動の背景にはさまざまな憶測が飛び交っている。
いずれにしても、彼のハイレバレッジポジションが精算されるのか、あるいは逆転勝利を収めることになるのか、しばらく市場の注目を集めることになりそうだ。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=約142.86円、1 BTC=約105,028ドル)