AMM刷新とEVM互換チェーンで取引対象資産を拡充
分散型取引所(DEX)「Avantis(アヴァンティス)」は3日、シリーズAラウンドで800万ドル(約11億円)の資金調達に成功したと発表した。暗号資産(仮想通貨)メディア「The Block(ザ・ブロック)」が同日付で報じた。
この資金調達ラウンドは、「PayPal(ペイパル)」や「OpenAI(オープンAI)」の共同創業者であるピーター・ティール氏が設立したベンチャーキャピタル「Founders Fund(ファウンダーズ・ファンド)」と、仮想通貨専門ベンチャーキャピタル「Pantera Capital(パンテラ・キャピタル)」が共同でリードし、「Symbolic Capital(シンボリック・キャピタル)」、「SALT Fund(ソルト・ファンド)」、「Flowdesk(フローデスク)」などが参加した。
アヴァンティスはイーサリアムのレイヤー2「Base(ベース)」上に構築された分散型デリバティブ取引所で、仮想通貨だけでなく、外国為替(FX)やゴールドなどの実世界資産(RWA)もレバレッジをかけて取引できるのが特徴だ。これまでの累計取引高は75億ドル(約1兆円)を超え、ユーザー数は6万人を超えている。現在、ベース上で最大規模のデリバティブプロトコルに成長しているという。
今回のシリーズA資金調達は、株式とトークンワラントの組み合わせで構成されており、ポストマネー評価額は非公開。なお、アヴァンティスは2023年9月に400万ドル(約5.7億円)のシードラウンドも実施しており、累計調達額は1,200万ドル(約17億円)に達した。
アヴァンティスは今後、株式やスポーツ、予測市場といった新たな資産クラスのサポートを予定しており、「あらゆるグローバル資産、市場、イベントをオンチェーン化する」というビジョンの実現に向けて、技術基盤の大規模刷新を計画している。具体的には、自動マーケットメイカー(AMM)をアップグレードし、金や原油、スポーツのオッズなど、あらゆる価格フィードに対応可能な設計にするという。
さらに、独自のEVM互換ブロックチェーンを開発し、高速かつガスレスな取引体験を提供する予定だ。これらの改良は、「Avantis v2」として数カ月以内にリリースされる見込みであり、資本効率の10倍向上や、リアル資産市場向けの高度なトレーディング機能、クロスマージン取引などが実装される予定である。
今回の資金調達と技術計画は、DeFi領域におけるRWAのオンチェーン化というトレンドを強く反映している。アヴァンティスのようなプロジェクトが成功すれば、これまで中央集権的市場に依存していた多様な資産クラスが、透明性と相互運用性を持った分散型エコシステムに取り込まれる可能性がある。これは、金融市場の構造に長期的な変革をもたらす起点となり得るだろう。
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