仮想通貨需要の高まり受け提携を強化
米国で唯一、連邦政府認可のデジタル資産銀行を擁する「Anchorage Digital(アンカレッジ・デジタル)」は8日、世界最大の資産運用会社である「BlackRock(ブラックロック)」から、新たに暗号資産(仮想通貨)の保管(カストディ)サービス提供者として追加選定されたと発表した。
発表によると、アンカレッジ・デジタル傘下の「アンカレッジ・デジタル・バンク」は、ブラックロックが提供する仮想通貨上場取引商品(ETP)などのカストディ業務を担う機関として新たに加わり、両社の提携関係がさらに強化されることとなった。
ブラックロックは2025年4月3日時点で、仮想通貨の現物ETPにおける世界最大の発行者であり、その運用資産残高(AUM)は500億ドル(約7.3兆円)に達している。
アンカレッジ・デジタルのCEOであり共同創業者でもあるネイサン・マッコーリー氏は、「ブラックロックが伝統的金融とデジタル資産の架け橋となる中で、我々は連邦規制下の仮想通貨インフラを通じて、顧客の多様なニーズに対応できる体制を提供している。あらゆる投資家がデジタル資産にアクセスできる世界を目指す一助となることを誇りに思う」とコメントしている。
また、ブラックロックのデジタル資産部門責任者であるロバート・ミッチニック氏は、「仮想通貨関連商品の需要が増加し、我々のエコシステム内での存在感が高まる中で、最高水準の機関投資家向けサービス提供者とのネットワーク拡大が不可欠である。厳格な評価を経た結果、アンカレッジ・デジタルは当社の基準を満たしており、新たなパートナーとして迎えることを嬉しく思う」と述べた。
アンカレッジ・デジタルはこれまで、ブラックロックの「BlackRock USD Institutional Digital Liquidity Fund(BUIDL)」に対応しており、今回の提携により、同ファンドを含めたカストディ業務も新たに担う形となった。今後、ブラックロックはアンカレッジ・デジタルを通じて、カストディ、ステーキング、決済、オンチェーン・ガバナンスといった仮想通貨関連機能へのアクセスを得ることとなる。
今回の提携は、単なる業務連携にとどまらず、仮想通貨分野における伝統的金融機関と規制準拠型プレーヤーの融合を象徴する動きである。今後の市場拡大と制度整備の鍵を握るのは、このような規制準拠と技術力を兼ね備えたプレーヤーの存在である。こうした動きが広がれば、仮想通貨が本格的に金融システムへと組み込まれる時代も遠くはない。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=146.6円)