USDTが市場をリード、成長続ける新興コインと規制強化の動き
28日、ステーブルコインの総供給量が2,003億ドル(約31兆円)を超え、過去最高を記録した。このうち、USDTは1,429億ドル(約22兆円)、USDCは423億ドル(約6.6兆円)、USDeは60億ドル(約9,462億円)、DAIは45億ドル(約7,096億円)、FDUSDは19億ドル(約3,000億円)、USDSは12億ドル(約1,892億円)に達している。
ステーブルコインは、暗号資産(仮想通貨)市場において価格の安定性を提供する重要な役割を果たしている。特にUSDTとUSDCは市場をリードしており、USDTが総供給量の約71%、USDCが約21%の市場シェアを占めている。これら2つの通貨は、送金や取引の基軸通貨として幅広く利用されており、ステーブルコイン市場の中核を成している。
一方、USDeやFDUSDなどの新興ステーブルコインも急速に成長している。USDeは、分散型金融(DeFi)プラットフォームである「Ethena(エセナ)」によって発行されており、供給量は60億ドルに達している。FDUSDは、香港を拠点とする「First Digital(ファースト・デジタル)」によって発行され、供給量は19億ドルに上る。
しかし、ステーブルコイン市場の急速な拡大にはリスクも伴う。特に、新興ステーブルコインの一部は、その担保構造や運用モデルに関して専門家からの懸念が示されている。例えば、USDeはその運用モデルが仮想通貨取引所に依存しており「カウンターパーティーリスク」があるとの指摘があり、リスク管理の重要性が再認識されている。
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ステーブルコイン市場は、これまで安定した成長を見せる一方で、2022年には、DeFiプロジェクト「Terra(テラ)」上で発行されていたステーブルコイン「UST」の崩壊により一時的な供給量減少を経験した。その後、2024年にはビットコインやイーサリアムなど主要仮想通貨の価格上昇とともに市場が回復し、ステーブルコインの需要が再び高まっている。
ステーブルコイン市場の急速な拡大に伴い、各国の規制当局もその監視を強化している。米国や欧州連合では、ステーブルコインの発行体に対する規制や報告義務の強化が進められており、市場の透明性と信頼性を高める取り組みが行われている。
総じて、ステーブルコイン市場は急速な成長を遂げているが、その持続的な発展には適切なリスク管理と規制の整備が不可欠である。投資家やユーザーは、各ステーブルコインの特性やリスクを十分に理解し、慎重な判断を行うことが求められる。
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