東証スタンダード上場の旧エス・サイエンス(5721)は4月1日付で、商号を「エスクリプトエナジー株式会社」(英文名:S Crypto Energy Inc.)に正式変更した。同社が2025年12月15日に公表した適時開示資料に基づくもので、2026年2月17日の臨時株主総会で定款変更が承認されていた。
定款改定で暗号資産事業を筆頭に据える
今回の商号変更にあわせ、定款の事業目的も大幅に改定された。従来は「ニッケル、コバルトおよびその他の金属の製造ならびに販売」が筆頭だったが、新定款では「暗号資産(仮想通貨)の投資および運用」を第1項に据えている。暗号資産トレジャリー企業としての方向性を定款レベルで明確にした形だ。
新たに追加された事業目的は多岐にわたる。デジタル資産を用いたトレジャリー運用のコンサルティング・アドバイザリー業務、貸金業およびその斡旋、再生可能エネルギー関連の発電・供給事業、暗号資産マイニングおよびブロックチェーン技術を利用した計算処理事業、AI向けデータセンターの企画・運営事業が加わった。従来の金属・不動産・教育関連の事業目的は引き続き残されている。
発行可能株式総数も2億株から7億株に引き上げられた。株主割当による新株予約権の無償発行に伴う措置で、将来的な資金調達の柔軟性を確保する狙いがある。
BTC投資上限を撤廃、1,000枚を中期目標に
同社の暗号資産事業を主導するのは、元「青汁王子」こと三崎優太氏だ。同氏は2025年4月にクリプトアセット事業開発担当室長に就任し、BTC購入戦略を推進してきた。
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従来設定していた暗号資産への年間投資上限96億円を全面撤廃し、中期目標として1,000BTC
BTCの取得を掲げる。JinaCoinのデータによると4月5日時点での保有状況は296.24BTC、平均取得単価は約1,687万8,000円、評価額は約31億7,000万円で、未実現損益は約マイナス18億円となっている。
三崎未来HDと蓄電池・マイニング・AIデータセンターで業務提携
エネルギー事業の具体化も進んでいる。同社は1月13日、三崎優太氏が代表取締役を務める三崎未来ホールディングス株式会社(資本金1億円、2024年5月設立)と、蓄電池事業を中心にマイニング事業およびAIデータセンター事業に係る業務提携契約を締結した。
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提携内容は蓄電池設備の導入計画策定や設備仕様の具体化、電力コストを踏まえたマイニング事業の事業性検討、AIデータセンターにおける電力の安定供給とコスト最適化の検討など。三崎HD側のノウハウ・供給力と、久永賢剛社長の電力関連事業の知見を掛け合わせ、事業化を目指す方針だ。なお、三崎優太氏は同社の新株予約権を引き受けており、潜在株主に該当する。
一方、海外展開には足踏みも見られる。同社は2月13日にUAE(アラブ首長国連邦)での暗号資産ディーリング法人設立を発表していたが、3月27日付で延期を開示した。現地での申請手続きおよび関係機関との調整に時間を要していることに加え、外務省がUAEへの渡航中止勧告を発出している状況が影響している。設立日・事業開始日はいずれも未定となっている。
エスクリプトエナジーの新ウェブサイトはhttps://s-cryptoenergy.jp/で公開されている。




