Jump Crypto、Securitizeに出資──機関投資家の市場参入後押し

伊藤 将史
10 Min Read

トークン化RWAの担保・投資利用を共同検討

現実資産(RWA)のトークン化に特化したプラットフォーム「Securitize(セキュリタイズ)」は8日、大手トレーディング企業「Jump Trading(ジャンプトレーディング)」のデジタル資産部門「Jump Crypto(ジャンプクリプト)」から戦略的投資を受けたと発表した。

セキュリタイズはRWA分野の主要企業で、34億ドル以上の運用資産残高を持つ(2025年4月28日時点)。一方、ジャンプクリプトは、アルゴリズム取引などを手掛ける大手トレーディング企業・ジャンプトレーディングの暗号資産(仮想通貨)部門である。両社は今回の提携を通じて、デジタル資産市場における流動性、リスク管理、アクセス性を改善し、伝統的な金融とオンチェーンファイナンスの間のギャップを埋めることを目指す。

具体的な取り組みとして、セキュリタイズとジャンプクリプトは、デジタル証券の革新的なユースケースを探求するとしている。これには、トークン化されたRWAをレンディング(貸付)やトレーディング戦略の担保として利用することなどが含まれるという。

セキュリタイズの共同創業者兼CEOであるカルロス・ドミンゴ氏は、「機関投資家によるトークン化資産の採用は加速しており、ジャンプクリプトの投資は、資本市場の変革におけるブロックチェーン技術の可能性をさらに裏付けるものだ」と述べ、今回の提携によって「最高のセキュリティとコンプライアンス基準を維持しつつ、投資家がトークン化された投資機会にシームレスにアクセスできる経路を創造することを目指す」とコメントしている。

ジャンプクリプトのソーラブ・シャルマ氏は、「ジャンプクリプトはデジタル資産イノベーションの最前線に立つことに注力しており、トークン化は金融市場の進化において重要な役割を果たすと信じている」とし、「セキュリタイズへの我々の投資は、機関投資家によるブロックチェーンベースの資産および分散型金融の採用に必要なインフラをサポートする、という我々のコミットメントを反映している」と語った。

セキュリタイズは、これまでに「BlackRock(ブラックロック)」、「Apollo(アポロ)」、「Hamilton Lane(ハミルトン・レーン)」、「KKR(ケーケーアール)」といった世界有数の資産運用会社と提携し、トークン化ファンドの提供を通じて現実資産のオンチェーン化を推進してきた。2025年には大手メディア・フォーブス誌の「Top 50 Fintech」企業にも選出されている注目企業である。

RWA市場が急速な成長を見せる中、今回の提携は、機関投資家のデジタル資産市場への参入を一層後押しし、金融市場の変革を推進する重要な一歩となることが期待される。現実資産とWeb3を接続するRWA業界の今後の動きを注視しよう。

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2017年の仮想通貨ブームの頃に興味を持ち、以降Web3分野の記事の執筆をし続けているライター。特にブロックチェーンゲームとNFTに熱中しており、日々新たなプロダクトのリサーチに勤しんでいる。自著『GameFiの教科書』。
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