分散型取引所Hyperliquid(ハイパーリキッド)の創業者ジェフ・ヤン氏は13日、公式Discordで、次回のネットワークアップグレードで「ポートフォリオマージン」機能を導入すると発表した。この機能は現在、プレアルファモードでテストネット上で稼働している。

資本効率が大幅に向上
ポートフォリオマージンでは、ユーザーの現物取引とパーペチュアル契約取引の証拠金が統合され、資本効率が大幅に向上する。従来は現物とパーペチュアルに別々の資金が必要だったが、1つの残高で統合運用できるようになる。例えば100ドルで従来の200ドル分の取引が可能になり、必要資金が半分で済む。
さらに、取引に使用されていない借入可能資産は自動的に貸し出され、利回りが発生する仕組みだ。例えば、口座に1,000ドルのUSDCがあり、そのうち500ドルだけを取引に使用している場合、残り500ドルが自動的に運用されて利息を獲得できる。
キャリートレードとクロス取引に対応
この機能により、現物とパーペチュアルの証拠金が統合され、価格変動リスクを相殺しながらファンディングレートを獲得するキャリートレードが可能になる。例えば、ETH現物を1枚保有しながら同時にETHパーペチュアルを1枚ショートすることで、価格変動による損益がゼロになり、ファンディングレート(金利)だけを獲得できる。
また、HYPEを保有したまま、それを担保にしてETH/USDHでETHを直接購入することもできる。HIP-3で作成されたすべてのDEX市場がポートフォリオマージンに対応するが、すべての資産が借入可能というわけではない。
HyperEVMとの相乗効果
ユーザーは適格資産を供給して利回りを獲得でき、HyperEVMのレンディングプロトコルと相乗効果を生む。将来のアップグレードでは、スマートコントラクトからも資産供給と利回り獲得が可能になる予定だ。
ポートフォリオマージンは意図的に完全なレンディング市場をHyperCoreに持ち込まず、EVM上の独立チームによる構築を促す設計だ。HyperCoreのレンディング自体はトークン化されていないが、EVMプロトコルであれば、利回り付きERC20トークンを発行してトークン化されたレンディングを実現できる。この仕組みは借入需要を生み出し、HyperEVM開発者の価値提案を拡大する。
プレアルファ版で段階的に展開
ジェフ氏は、ポートフォリオマージンが複雑な技術アップグレードであり、借入可能資産の供給側をブートストラップする必要があると説明。そのため、プレアルファモードでは借入可能資産の上限が極めて低く設定される。ユーザーは1,000ドル未満の価値を持つ新規アカウントまたはサブアカウントでテストすることが推奨されており、上限に達した場合、ポートフォリオマージンアカウントは非ポートフォリオマージン動作に戻る。
プレアルファモードでは、USDCのみが借入可能で、HYPEが唯一の担保資産となる。アルファフェーズの前に、USDHが借入可能資産として、BTCが担保資産として追加される予定だ。詳細は公式ドキュメントに追加される。
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