世界最大のビットコインマイナーを目指す
北米を拠点にビットコインマイニング事業を展開する「Hut 8(ハットエイト)」は31日、ドナルド・トランプ米大統領の次男エリック・トランプ氏率いる投資家グループと提携し、新たな子会社「American Bitcoin Corp.(アメリカン・ビットコイン)」を設立したと発表した。
発表によると、アメリカン・ビットコインは、世界最大かつ最も効率的なビットコインマイナーとなることを目指すと同時に、戦略的ビットコイン準備金を構築することを目標に掲げている。具体的には、平均フリート効率15 J/TH未満で50 EH/s以上のハッシュレートを達成し、将来的には株式公開企業になることを目指すとしている。
この新会社設立の背景には、ハットエイトによる事業再編がある。具体的には、ハットエイトが保有していたASICマイナーの大部分を、エリック・トランプ氏らが設立した「American Data Centers(アメリカン・データセンターズ)」に現物出資。その見返りとして、ハットエイトは同社の株式の80%を取得した。この取引完了をもって、アメリカン・データセンターズは「アメリカン・ビットコイン」へと社名を変更し、新たなスタートを切った。
今後、ハットエイトはアメリカン・ビットコインに対して、ASICの設置・運用スペース提供や日々の運営管理などのインフラサービスを、長期契約に基づいて独占的に提供する。これにより、ハットエイト自身は、マイニング事業の変動リスクから距離を置きつつ、アメリカン・ビットコインから安定的なサービス収入を得るビジネスモデルへと移行する。
アメリカン・ビットコインの経営陣には、エリック・トランプ氏(最高戦略責任者)のほか、Mike Ho氏(エグゼクティブ・チェアマン)、Matt Prusak氏(CEO)が就任。さらに、ドナルド・トランプ・ジュニア氏もパートナーとして関与している。
エリック・トランプ氏は、「データセンターにおけるハットエイトの実績ある運用の卓越性と、ビットコインと分散型金融に対する私たちの共通の情熱を組み合わせることで、私たちは基盤を強化し、将来の大きな成長を推進する準備ができています。」と述べた。また、ドナルド・トランプ・ジュニア氏は「ビットコインを単に買うだけでなく、経済的に有利なマイニングを通じて投資家に新たな価値を提供する」と強調した。
アメリカン・ビットコインの設立は、エリック・トランプ氏とドナルド・トランプ・ジュニア氏の関与によって、単なるマイニング事業にとどまらず、政治的影響力や保守層への訴求力を持つ戦略的な動きとなっている。仮想通貨と政治が交差するこの展開は、今後の業界の方向性や規制環境にも影響を与える可能性がある。
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