3,000万ドルでUSDCを購入、BTC現物投資も計画
デザインプラットフォームを展開する米企業「Figma(フィグマ)」が、ビットコインETF(上場投資信託)へ大規模な投資を行っていたことが明らかになった。1日、同社が米証券取引委員会(SEC)へ提出した新規株式公開(IPO)に関するS-1申請書において、資産運用企業「Bitwise(ビットワイズ)」が提供するビットコインETFを7,000万ドル(約100億円)相当保有していることが明記されている。
同社のビットコインETFの保有は、過去の取締役会における決定事項だ。申請書の中では、2024年3月3日に取締役会がビットワイズ提供のビットコインETFに対し、5,500万ドル(約79億円)の投資を承認したことが明記されている。SECが初めてビットコイン現物ETFを承認したのが同年1月であることを考慮すると、フィグマは他社と比較しても比較的早い段階からデジタル資産への積極的な関与を進めてきた企業と言えるだろう。
また、2025年5月8日には、同社取締役会が3,000万ドル(約43億円)のビットコイン投資を承認。すでに3,000万ドル分のステーブルコイン「USDC(USD Coin)」を購入したことが報告されており、フィグマはこのUSDCを活用してビットコインの現物投資を進める計画を示している。ETFと現物を財務戦略に組み込むことで、同社の企業価値向上や株主に対する利益還元を加速させようという狙いだろう。
企業によるビットコイン財務戦略の動きは、近年急速な拡大を見せている。特にフィグマのような暗号資産(仮想通貨)と直接的な関係を持たない企業の市場参入は、その傾向をより顕著に浮かび上がらせている状況だ。
企業・国家のビットコイン保有情報を提供する「Bitcoin Treasuries(ビットコイントレジャリーズ)」によると、執筆時点でビットコインを保有する企業は141社にのぼり、その合計保有量は849,245 BTCを記録。総供給量の約4%を占めている状況だ。もはや企業保有による市場への影響力は無視できない段階に達していると言えるだろう。
デジタルデザインを主軸としたフィグマにとって、ビットコインはこれまで直接的な関わりの薄い領域とされていたが、今回の報告により財務戦略における明確な方向性が示された形となった。今や単なる投資対象の域を超えたビットコインに対して他社がどう向き合い、どのように活用していくのか、今後の展開にも注目していきたい。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=143.69円)