米証券業金融市場協会(SIFMA)を通じてJPモルガン・チェースやシタデルなどの大手金融機関の代表者が27日、米証券取引委員会(SEC)の暗号資産(仮想通貨)タスクフォースと面談した。金融機関側は、ブロックチェーン技術を理由とした安易な規制免除は市場の安定を損なうとして、既存金融と同等の厳しいルールの適用を求める提言を行ったことが、SECの公式文書により明らかになった。
既存金融、暗号資産企業との「規制格差」是正を主張
会合の焦点となったのは、トークン化証券を扱う企業に対し、既存の証券法(登録義務や資産保護ルールなど)の適用を一部スキップさせる「広範な規制免除」の是非だ。
2025年から2026年にかけて、SECは「イノベーション免除」という枠組みを検討し、ブロックチェーン技術を活用している製品・サービスに対して、既存の証券法を一部または全部免除して運用可能にするとの方針を示している。
SIFMA側は、技術革新を支持しつつも、免除措置が常態化すれば「同一リスク・同一規制」の原則が崩れ、市場の分断を招くと警告した。
その具体的なリスクとして同団体が挙げたのが、「10月のフラッシュクラッシュ(2025年10月に発生した、暗号資産市場での大規模な価格急落)」や「ストリーム・ファイナンスの破綻(2025年11月に破綻したDeFiプロジェクト)」といった最新の事例だ。
これらは既存の証券市場が持つ「サーキットブレーカー」や「透明性の高い監査」といった保護枠組みの外で発生し、投資家に多大な損失をもたらした。SIFMAは、こうした事態を防ぐには、経済的実態に基づいた一貫性のある規則制定が必要であると主張している。
分散型金融(DeFi)についても、SIFMAは「名前が分散型であっても、実態は既存のブローカーや取引所と同じ機能を果たしている」と厳しく指摘した。
具体的には、フロントエンド・インターフェースや注文ルーティング、流動性プロバイダーなどは実質的に証券会社と同等の業務を行っており、「中央集権的な運営主体も事実上存在する」と指摘。そのため、「DeFi」というラベルによって既存の証券取引法の適用を免れることは許されない、との論理を展開した。
こうした一連の提言の背景には、既存の金融機関が求める「公平な競争条件」の確保という狙いがある。
厳しい規制コストを負担しているJPモルガン・チェースらにとって、暗号資産企業だけが「技術」を免罪符に規制を逃れることは、不当な競争環境を生むだけでなく、市場全体の信頼性を損なうという立場だ。同団体は、ウォレットプロバイダーに対してもブローカー・ディーラーとしての登録を求めるなど、新旧のプレイヤーが同じ土俵で戦うための「技術中立的」な規制整備を強く促している。
米国はトランプ政権下で暗号資産業界への優遇政策を推進しているものの、既存金融システムとの摩擦は小さくないようだ。
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