発表動画にフェイク疑惑、ドメイン登録やXアカウントにも不審点
中央アフリカ共和国のフォースタン・アルシャンジュ・トゥアデラ大統領は10日、ミームコイン「CAR」の発行を公式Xで発表した。しかし、この投稿やCARの信憑性をめぐってSNS上で論争が巻き起こっている。
トゥアデラ大統領の投稿によると、CARはミームコインの持つ拡散力を活かし、強固なコミュニティを形成できるかを試す実験的なトークンとして位置付けられている。CARの発行を通じて、中央アフリカ共和国の存在感を暗号資産(仮想通貨)市場で示し、世界的な認知度を高める狙いがあるという。
CARはソラナチェーンを基盤として発行されており、すでに「Pump.fun」や「GMGN.AI」などのミームコイン発行プラットフォーム上で取引が始まっている。GMGN.AIの執筆時点のデータによると、CARの24時間取引高は約5.6億ドルに達し、市場で大きな動きを見せている。
しかし、このCARが詐欺トークンではないかという疑惑が浮上している。トゥアデラ大統領は10日、公式XでCARに関連した動画を投稿したが、「この動画がディープフェイクではないか」としてSNS上で話題となった。
仮想通貨ニュースメディア「Cointelegraph(コインテレグラフ)」によると、ディープフェイク検出ツール「Deepware(ディープウェア)」の検証では、AIモデルの1つがこの動画を疑わしいとフラグ付けし、別のモデルは82%の確率でディープフェイクであると判定したという。一方で、別の検出ツールはAI生成の痕跡を検出しておらず、判定が分かれている。
また、CARのトークノミクスが記された公式サイトと思われるページが公開されていたが、SNSユーザーからは公式サイトのドメインが6日に登録されたばかりである点が指摘されていた。なお、このサイトには執筆時点でアクセスできない状況となっている。ドメイン登録元である「Namecheap(ネームチープ)」が「悪用の疑い」で調査を進めていることが報じられており、その影響の可能性もある。
加えて、CARの情報発信用の公式Xが立ち上げられていたが、こちらもアカウントが凍結している状況だ。このことからも、トゥアデラ大統領の公式Xが何者かにハッキングされ、詐欺トークン販売のために悪用されたという見方が強まっている。
CARの発行はトゥアデラ大統領の公式アカウントから発表されているが、ディープフェイク疑惑やウェブサイトの閉鎖、公式Xアカウントの凍結など数々の不審な点が拭いきれていない。公式情報と確証が得られるまでは、仮想通貨投資家の間で不安が渦巻く状況が続くだろう。
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