BNYメロン、ブロックチェーンで投資家の所有権を管理へ
米資産運用大手の「BlackRock(ブラックロック)」が、自社が運用するマネーマーケットファンド(MMF)群「BlackRock Liquidity Funds(ブラックロック・リクイディティ・ファンズ)」に対し、デジタル株式クラス「DLT Shares」を追加する申請を行ったことが明らかになった。ETFアナリストであるヘンリー・ジム氏が30日に公式Xで共有した目論見書によると、この申請は4月28日付で提出されている。
目論見書によると、DLT Sharesは米大手金融機関「BNY Mellon(バンク・オブ・ニューヨーク・メロン)を通じてのみ購入が可能。ブラックロックおよびその関連会社による購入にも対応している。ニューヨーク証券取引所とフィラデルフィア連邦準備銀行が営業している日は毎日、DLT Sharesを購入または換金(売却)が可能だ。なお、販売手数料はかからないとしている。
また、最低初回投資額は機関投資家を対象に300万ドル(約4億2,000万円)に設定されているが、その後の追加投資に関しては最低資金額の制限は設けられていない。ただし、BNYメロンが別途最低投資額を定める可能性もあるとしており、投資家には留意が求められる。
BlackRock Liquidity Funds自体はブロックチェーン技術を用いておらず、暗号資産(仮想通貨)への投資も行っていない。一方で、BNYメロンがブロックチェーン技術を活用して投資家のシェア所有権を記録・反映させる仕組みを導入する可能性があると、ジム氏は指摘している。これにより、所有権の追跡や照合プロセスを簡素化し、より効率的で透明性の高い投資環境の提供を目指す動きとみられる。
DLT Sharesが正式に承認されれば、資本市場におけるデジタル証券の普及に向けた重要な一歩となるはずだ。今後の承認プロセスとブロックチェーン技術の実装の進展に注目が集まる中、BlackRockやBNYメロンの動向は他の資産運用会社や金融機関にとっても重要な指針になるだろう。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=142.44円)