「ビットコイン立国」に向けたエルサルバドルの挑戦と成果
Bitfinex Securities(ビットフィネックス・セキュリティーズ)は19日、2023年1月にエルサルバドルで制定された『デジタル資産証券法』に基づき、同国内での米国債トークン(USTBL)の販売を開始した。
エルサルバドルの「ビットコイン立国」実現に向けた重要なマイルストーンとして、本件は注目を集めている。
エルサルバドルとビットフィネックスの新たな挑戦
ビットフィネックスの名をおぼえているだろうか?
2023年4月にエルサルバドルの『デジタル資産証券法』に基づき、初めてライセンスを取得した暗号資産(仮想通貨)取引所だ。
以来、ビットフィネックスは世界初の「国際デジタル資産プラットフォーム」としてその地位を築いてきた。ビットコインを軸とした金融改革を進めるエルサルバドルのナジブ・ブケレ大統領とは、「莫逆の友」といえる。
2023年1月にエルサルバドルで制定された『デジタル資産証券法』は、ソブリン債(政府が発行主体の債券)をトークンを用いて直接発行することを認めたエポックメイキングな法律である。この法律が同月内に施行後、 2023年2月に香港でソブリン債がトークンにより直接発行された。2023年7月にはスロベニア、2023年11月にはフィリピンがこれに続いている。
国債トークンの発行主体には、各国政府以外にも、
- 大手金融機関(BlackRock、Franklin Templeton、WisdomTree等)
- フィンテック企業(Securitize、Figure、NexBridge等)
- 分散型金融プラットフォーム(MakerDAO、Aave、Curve等)
がある。
・・・本件のビットフィネックスはフィンテック企業(②)として国債トークンを発行する。
USTBLは、ビットコインのサイドチェーンである「NexBridge(ネックスブリッジ)」を利用しており、エルサルバドルの「ビットコイン立国」実現に向けたマイルストーンとしては重要である。だが、国債トークン自体の仕組みはすでに他国でも導入されており、さほど目新しいものではない。
しかし、2023年の同国の『デジタル資産証券法』が次々と他国の追随を生んだように、エルサルバドルの持つ影響力は無視できない。
米国債トークンが意味するもの
こうした取り組みの背景には、米国とエルサルバドルの複雑な経済的関係がある。
次期アメリカ大統領のトランプ氏は熱心なビットコイン支持派である一方、不法移民の排除をかねてより宣言している。
GDPの25%を米国在住者(その中には不法移民も含まれると推測される)からの送金に依存するエルサルバドル経済にあっては、米国債を「国策的に」買うことで、米国との結びつきを深めたかったのではないだろうか。
エルサルバドルで米国債トークンが売れれば、当然、米国の台所事情は改善する。但し、今回のエルサルバドルUSTBLの第1次募集額は3,000万ドル。これは米国経済における規模と比較すると微々たるものだ。日本政府の米国債保有額は1兆1,500億ドルである‥。
出典:statista
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