東証グロース市場上場の売れるネット広告社グループ(9235)は1日、国内上場企業として初めて暗号資産(仮想通貨)の復旧・保全を専門とする新会社「ビットコイン・セイヴァー株式会社」を設立したと発表した。
約60兆円の「眠れる資産」が対象
パスワード紛失や秘密鍵の管理失敗により、世界中でアクセス不能となっているビットコインは約370万BTC(約60兆円相当)に上る。暗号資産取引所へのアクセス障害や相続・事業承継に伴うデジタル資産移転の課題も顕在化しており、復旧・保全サービスへの需要が急速に高まっている状況だ。
世界の暗号資産市場規模は2024年12月中旬に約3.91兆ドル(約587兆円)の過去最高値を記録した。日本国内市場も2024年の約28.9億ドル(約4,335億円)から、2033年には約243.6億ドル(約3兆6,540億円)へ拡大すると予測される。年平均成長率26.75%の高成長が見込まれる市場環境だ。
成功報酬型で初期費用を抑制
ビットコイン・セイヴァーは24時間対応のオンラインサポートを提供する。
回収資産の40%を成功報酬とする料金体系を採用し、着手金などの初期費用を極力抑制。復旧に至らなかった場合の利用者負担を最小限に抑える設計としている。
主要な暗号資産ウォレットや取引所に幅広く対応可能で、暗号資産復旧の専門家である岩田顕斗氏との共同出資により高度な技術力を確保した。岩田氏はOSCP・OSWEを保有し、世界最高峰のハッキングコンテストhackthebox.comで2017年に1位を獲得。これまでに数億円分の暗号資産を復旧した実績があり、解決率は90%以上だ。同業他社で対応不可だった案件も多数解決に導いている。
グローバル展開と新市場開拓へ
売れるネット広告社グループは「AI×新規事業×M&A」を成長戦略の柱に位置付けており、本事業はその延長線上にある新たな収益源の獲得を図るものだ。
今後は多言語対応やAIチャットボットの活用によるグローバル展開を推進する。国際的なセキュリティ認証の取得を通じて社会的信頼性を向上させる方針だ。
個人ユーザーに加え、法人の資産管理や相続関連分野への支援にも対象を広げる。「失われた資産を取り戻す最後の砦」として社会的インフラの役割を果たすことを目指している。同社は本事業を将来的にWeb3領域におけるユニコーン事業へと育成し、世界市場で数千億円規模の成長可能性を秘める事業モデルへ拡大することを目標としている。




