米ソネット・バイオ、HYPEトレジャリー企業への転換承認──株主総会で可決

伊藤 将史
10 Min Read
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
Highlights
  • 米ナスダック上場のソネット・バイオセラピューティクス、HYPEトレジャリー企業への転換を目的とした事業統合提案を株主総会で承認
  • ハイパーリキッド・ストラテジーズとロールシャッハとの3社合併により、約1,260万枚のHYPE(評価額約5億8,300万ドル)と約3億500万ドルの現金を保有
  • 既存のバイオ医薬品開発事業は新会社の完全子会社として継続、HYPEのステーキング報酬獲得を通じた株主価値最大化が目標

米ナスダック上場のバイオテクノロジー企業Sonnet BioTherapeutics Holdings, Inc.(ソネット・バイオセラピューティクス)は2日、臨時株主総会においてハイパーリキッド・ストラテジーズおよびRorschach I LLC(ロールシャッハ)との事業統合提案が承認されたと発表した。

ハイパーリキッド・ストラテジーズとの事業統合が実現へ

この合併はソネット・バイオセラピューティクスを、分散型取引所(DEX)およびL1ブロックチェーンであるハイパーリキッドのネイティブトークン「HYPE」を保有・管理するデジタル資産トレジャリー(財務戦略)企業へと、生まれ変わらせるためのものだ。構想は2025年7月に発表済みで、今回の株主承認により、ついにその構想が実現することとなる。関係する3社の役割は以下の通りである。

  • ソネット・バイオセラピューティクス:ナスダックに上場しているバイオ企業。今回の合併の「受け皿」となり、その事業目的は大きく変更される。
  • ハイパーリキッド・ストラテジーズ:新たな事業主体となる企業名。合併後のソネット・バイオは社名をこれに変更し、HYPEトークンの保有・運用を主軸とする。
  • ロールシャッハ:HYPEトークンや資金を保有し、今回の合併のために設立された事業体。ソネット・バイオと合併することで、保有資産を上場企業に組み込む役割を果たした。

今年7月の時点で、合併後の事業主体となるハイパーリキッド・ストラテジーズは約1,260万枚のHYPEトークンと、約3億500万ドル(約474億円)の現金を保有する見込みで、これらを合わせた企業評価額は約8億8,800万ドル(約1,382億円)と試算されている。

ハイパーリキッド・ストラテジーズは、「HYPEトークンの蓄積を通じて株主価値の最大化を目指す」としており、ステーキングや利回り最適化、エコシステムへの積極的な関与を通じて、個人投資家が単独では複製困難なリターンを生み出すことを目標に掲げている。

なお、ソネット・バイオがこれまで手掛けてきた腫瘍学向けのバイオ医薬品開発事業は、新会社の完全子会社として継続される。同社独自の技術を用いた創薬プラットフォームの研究開発は維持される方針だ。

近年、本業とは別に暗号資産(仮想通貨)を財務資産として大量に保有する上場企業が増加しているが、今回の合併は、その対象が短期間で急激な成長を遂げているHYPEであることから、大いに注目されそうだ。

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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=155.72円)

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2017年の仮想通貨ブームの頃に興味を持ち、以降Web3分野の記事の執筆をし続けているライター。特にブロックチェーンゲームとNFTに熱中しており、日々新たなプロダクトのリサーチに勤しんでいる。自著『GameFiの教科書』。
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