ビットコイン購入を発表したエス・サイエンス、10日間で株価3.5倍に高騰

伊藤 将史
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17日に仮想通貨事業への参入を発表|メタプラネットに続くか

17日に暗号資産(仮想通貨)事業への参入を表明した日本の上場企業「株式会社エス・サイエンス(5721)」の株価が、わずか10日間で3.5倍に高騰した。

同社の株価は3月17日時点の30円から、27日には106円まで上昇。急上昇株として市場からの注目を集めている。

出典:みんかぶ

国内上場企業としては、「株式会社メタプラネット(3350)」がビットコインの取得によって躍進した事例がある。同社は2024年に時価総額が約6,000%増加。日本の株式市場において、リターン率と時価総額増加率で第1位を記録した。

この先行事例が、エス・サイエンス株の高騰につながったとみられる。

ただし、同社がビットコインの取得を開始するのは2025年7月以降とされている。直近の株価上昇は、発表を好材料と捉えた投資家による先行買いが殺到した結果といえるだろう。

事業の概要|ビットコイン取得以外にもWeb3.0事業参入を表明

27日時点で同社は「クリプトアセット事業部」のホームページを開設し、事業の概要を発表している。

  1. 暗号資産投資事業
    主にビットコインを長期保有し、企業財務の安定性と資産価値の向上を目指す。
  2. テクノロジー開発事業
    NFT、Web3ゲーム、DeFi(分散型金融)などの革新的なサービスを開発。
  3. 戦略的投資・ファンド事業
    ブロックチェーン・Web3.0分野のスタートアップに対して資本投資を行う。
  4. 企業向けブロックチェーン導入支援事業
    企業のブロックチェーン導入をサポートするなど、多角的なコンサルティングを提供。

ビットコイン取得のほかにも、本格的にWeb3.0事業への参入を計画しているようだ。

今後の展望

仮想通貨事業への参入を表明する以前のエス・サイエンスは、ニッケルの生産や不動産、学習塾などの事業を展開。設立は1946年で、従業員数は15人・2024年時点の平均年齢63.4歳の老舗企業である。

仮想通貨・ブロックチェーンに関する人的資源や知見を持っていた形跡はないため、仮想通貨事業への参入は、唐突な動きといえるだろう。

なお、エス・サイエンスは、2月に筆頭株主の変更を公表している。持ち株比率21.93%で筆頭株主だった「株式会社エルアイイーエイチ」が、持ち株をすべて「KAY EO BROTHERS LIMITED」に譲渡。SNS上では、仮想通貨事業への参入はKAY EO BROTHERS LIMITEDの支援や後押しがあったのではないか、とも噂されている。

ただし、KAY EO BROTHERS LIMITEDはホームページなどが存在せず、上記の株式譲渡に関するプレスリリース以外は、一切詳細が明らかになっていない。

先述のとおり、エス・サイエンスはクリプトアセット事業部のホームページにおいて、Web3.0事業への本格的な参入を表明している。

これらの事業を遂行するためには、仮想通貨・ブロックチェーンに関する深い知見と人的資源が必要になるため、それらをどのように揃えるのかがポイントになりそうだ。

近年、国内・国外を問わず、事業戦略としてビットコインの取得・運用を行う「ビットコイントレジャリー事業」を展開する企業が、株式市場からも注目を集めている。エス・サイエンスがメタプラネットに続く成功事例となれば、日本でもビットコイントレジャリー事業への注目がさらに集まることになるだろう。

ただし、ビットコイントレジャリーは、仮想通貨相場に大きく左右される事業である点には注意が必要だろう。2024年は仮想通貨相場が好況でビットコイン価格も上昇していたものの、2025年以降も同様の市況が続くとは限らない。ビットコイン相場の動きと合わせて、ビットコイントレジャリー企業の株価も、慎重に見守りたいところだ。

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2017年の仮想通貨ブームの頃に興味を持ち、以降Web3分野の記事の執筆をし続けているライター。特にブロックチェーンゲームとNFTに熱中しており、日々新たなプロダクトのリサーチに勤しんでいる。自著『GameFiの教科書』。
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