ロシア下院議員、ロシアでのビットコイン戦略的準備金設立を提案

木本 隆義
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ロシアの「デジタルリザーブ構想」が示す、新たな金融地政学

ロシア下院議員タキョフ氏は9日、シルアノフ財務相にビットコインの戦略的準備金創設を検討するよう要請した。地政学的不安定化で従来の外貨準備(ドル、ユーロ、人民元)が制裁やインフレに脆弱な中、暗号資産(仮想通貨)は他国依存を減らし、価値保全に資する可能性がある。

タキョフ氏は制裁下で国際決済が制限される状況で、仮想通貨が実質的に唯一の選択肢となり得ると強調。ロシア中央銀行も仮想通貨による越境決済実験を準備中だ。提案は承認されれば政府審議へ進む見通し。

ビットコインを国家準備資産へ──制裁回避の巧妙な手立て

ロシア下院議員による「ビットコインを戦略的準備金として組み込む」提案は、グローバル金融秩序への挑戦と見ることができる。この動きは従来、米ドルやユーロ、人民元といった主要通貨で保有されてきた外貨準備を仮想通貨で再構築し、制裁の網をくぐり抜けようとする試みだ。仮想通貨は従来の国際決済ネットワークに依存せず、凍結リスクを軽減すると同時に、迅速な国境を超えた資金移動を可能にする。ロシア政府がこれを「制裁バイパス装置」とみなしている点は、極めて示唆的である。

高収益と高変動性──ボラティリティとの微妙な取引

ビットコインは高騰する可能性が示唆されており、2025年には20万ドル到達との予測も浮上している。一方、その価値変動は極めて激しく、対価として不確実性を伴う。

国家資産の保全手段としてはリスクがつきまとうが、ロシアはこれをドル覇権から脱却する「実験的ポートフォリオ」と位置づける可能性がある。だが国際的な金融規制当局や米政府は、仮想通貨市場の締め付け強化に動きつつあり、この賭けは容易には進まない。

地政学的再編か、単なる幻想か

ロシアがビットコイン準備金を積み上げるなら、新たな金融地政学が芽生える契機となり得る。その成功は世界秩序の再構築を促す一歩となるが、失敗すれば過度なボラティリティに苦しむ「新時代の資産運用失敗例」となりかねない。

革新的かつ挑戦的なこの構想は、現実世界で花開くのか、それとも幻想に終わるのか。今後の動向が、国際金融の新たな章を記すことになる。

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情報ソース:РИА Новости(ロシア語)

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JinaCoinのニュース担当記者。仮想通貨歴は8年。Liskで大損、BTCで爆益。タイの古都スコータイで、海外進出のための市場調査・戦略立案・翻訳の会社を経営。1973年生。東海中高、慶大商卒、NUCB-MBA修了。主著『マウンティングの経済学』(https://amzn.to/49zjrXG)。来タイ12年。
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