仮想通貨と法規制の課題、シルクロード事件が浮き彫りに
ドナルド・トランプ米大統領は21日(現地時間)、ダークウェブ上で違法取引が行われたECサイト「Silk Road(シルクロード)」の創設者であるロス・ウルブリヒト(Ross Ulbricht)氏に恩赦を与えた。ウルブリヒト氏は釈放後、Xに動画メッセージを投稿し、トランプ大統領や自身を支えてくれた人々への感謝を述べた。
ウルブリヒト氏は、2013年にシルクロードの創設および運営に関与したとして逮捕され、2015年にはマネーロンダリング、麻薬密売、ハッキングを含む複数の罪状で有罪判決を受けた。ビットコインを利用した2億ドル以上の違法取引への関与が指摘され、仮釈放なしの終身刑を宣告されていた。今回の恩赦により、トランプ大統領はウルブリヒト氏を釈放するという選挙公約を実行に移した。
釈放後、ウルブリヒト氏はXにメッセージ動画を投稿し、公の場で初めて心境を語った。彼は、トランプ大統領から恩赦を受けたことに対する感謝を述べるとともに、今後の生活への期待を表明した。
メッセージ動画の中で、ウルブリヒト氏は「私は11年以上檻の中だったが、自由になった。彼(トランプ大統領)は(公約を)有言実行する人だということを知ってもらいたい。私の人生と未来が戻ってきて、第二の人生を歩めることを本当に嬉しく思う」と感謝の意を表明した。また、家族や釈放まで協力してくれた支援者への感謝を繰り返し述べ、「自由な世界と再び関わることを楽しみにしている。話すことはまだたくさんあるが、心の準備ができたらまた話したい」と付け加えた。
恩赦について、トランプ大統領は自身のSNSプラットフォーム「トゥルース・ソーシャル(Truth Social)」を通じて「完全かつ無条件の恩赦」であることを強調。また、ウルブリヒト氏の母親と電話で連絡を取り、今回の決定を伝えたと述べている。
この恩赦に関するトランプ大統領の立場は以前から注目を集めていた。2024年5月、ワシントンD.C.で開かれたリバタリアン(自由至上主義者)党全国大会で、彼はウルブリヒト氏の刑期軽減を支持する考えを示し、一部のリバタリアン支持者の注目を集めた。
ウルブリヒト氏の釈放は、暗号資産(仮想通貨)業界の規制や法執行の現在の在り方について再考させる機会となった。従来の法規制が時代遅れになりつつあることが浮き彫りとなり、今後適切な規制や法整備がより一層求められることになるだろう。
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