ビットコインで「検閲」論争、手数料の安い取引がブロックに入らず

ビットコインで「検閲」論争、手数料の安い取引がブロックに入らず
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shoko-koyama
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Highlights
  • 30日、マイニングプールOCEAN(オーシャン)の参加者が掘ったブロックから低手数料の取引が外れ、送り主がXで検閲と主張
  • 取引は想定3,580件に対し1,697件、手数料は約7.7%少なく、1 sat/vB未満の取引はゼロ
  • オーシャンの立場で発信するクリス氏は、どの取引を入れるかはDATUM(デイタム)のもとで採掘者が決めることだと反論

暗号資産(仮想通貨)ビットコインBTCBTCのコインジョイン(複数人の送金を1つにまとめてプライバシーを高める手法)の取りまとめ役を運営するKruw氏は日本時間30日、自身の取引がマイニングプール(採掘者が計算力を持ち寄り、報酬を分け合う仕組み)OCEAN(オーシャン)の参加者Powreに検閲された(censored)とXで主張した。

JinaCoinがブロックエクスプローラーのmempool.spaceで確認すると、Powreが採掘したブロックには、手数料率が1 sat/vB(データ量1仮想バイトあたり1サトシ。サトシは1億分の1 BTC)未満の取引が1件も入っていなかった。オーシャンの立場で発信するクリス氏(Xのアカウント名coinjoined)は、どの取引を入れるかは採掘者が決めることだと反論している。

オーシャンのブロック973,817、取引数は想定の半分以下

ブロック973,817に記録された時刻は日本時間30日20時33分。mempool.spaceが未承認の取引から組んだ想定のブロックは、Kruw氏が投稿した画面とJinaCoinの取得時点(日本時間31日6時7分)で3,580件の取引を含んでいた。

実際のブロックの取引は1,697件だった(報酬を受け取るコインベース取引を除く。画面では1,698件と表示)。データの重さを示すウェイトは、想定の約399万に対し約293万で、上限の400万まで余裕を残していた。

手数料の合計は158万6,594サトシ(約19万2,000円)で、想定の171万9,208サトシ(約20万9,000円)より約7.7%少ない。JinaCoinの価格データによると、執筆時点(日本時間31日6時11分)で1 BTC=1,213万78円だ。

Kruw氏は、mempool.spaceの画面を添付し、このブロックがプール内の誠実な採掘者の手数料収入を7.68%失わせたと主張する。クリス氏に助けを求め、検閲者がオーシャンの計算力を乗っ取るのを止めるよう訴えた。

外れたKruw氏の取引は、21個の入力を1つの出力にまとめる取引だ。手数料は223サトシ(約27円)で、1 vBあたり約0.15サトシ。約10分後、AntPool(アントプール)が採掘した次のブロック973,818で承認された。

同氏は27日にも、空のブロックを掘る検閲者にはオーシャンが報酬を払うべきではないと投稿していた。

JinaCoinがmempool.spaceで確認、外れた取引の9割超は1 sat/vB未満

JinaCoinは、日本時間31日6時7分に取得したmempool.spaceの監査データで、想定のブロックと実際のブロックの取引を1件ずつ突き合わせた。想定にあって実際に入らなかった取引は1,885件で、うち1,734件(約92%)が1 sat/vB未満だった。

実際のブロックに入った取引は、コインベース取引を除き、どれも手数料率が1 sat/vB以上だ。

想定にあってブロック973,817に入らなかった取引件数手数料の合計
1 sat/vB未満1,734件3万4,055サトシ(約4,100円)
1 sat/vB以上で、直前(3分以内)に届いた取引145件9万5,197サトシ(約1万2,000円)
1 sat/vB以上で、mempool.spaceが除外とみなした取引6件3,586サトシ(約430円)
合計1,885件13万2,838サトシ(約1万6,000円)
mempool.spaceの監査データ(日本時間10月31日6時7分取得)をもとにJinaCoin作成。手数料率はmempool.spaceの実効手数料率(子の取引の分を含む)で分類した。想定のブロックの数値は取得の時点や取得先でわずかに変わることがあり、手数料の減り方はKruw氏の画面の7.68%とわずかに異なる。実際のブロックには想定にない取引2件(計224サトシ、約27円)も入っており、手数料の差は13万2,614サトシ(約1万6,000円)

1 sat/vB未満の取引の手数料は計3万4,055サトシ(約4,100円)で、想定の手数料の約2.0%にあたる。

差の多くは、ブロックが届いた時点でmempool.spaceが受け取ってから(または子の取引で実効手数料率が上がってから)3分以内だった取引の9万5,197サトシ(約1万2,000円)だった。

mempool.spaceは、こうした取引を採掘者に届くのが遅れた、または新しい手数料率が届いていない可能性がある取引として扱っている。

前後のブロックとも比べた。アントプールが採掘した973,816は7,307件中6,868件、973,818は3,747件中1,592件が1 sat/vB未満の取引で、どちらもこの水準の取引を入れていた。

mempool.spaceの監査は、1 sat/vB未満の取引や直前に届いた取引を除外(Removed)に数えない。

このブロックの健全性は、除外とみなした6件をもとに99.65%と計算された。Kruw氏が投稿した画面でも、同氏の取引は除外(Removed)ではなく、手数料率が境目の水準(Marginal fee rate)と表示されている。

Bitcoin Core 30.0は中継の初期設定0.1 sat/vB、オーシャンのテンプレートは1 sat/vB

ビットコインのノードソフトBitcoin Coreは、2025年10月公開の30.0のリリースノートによると、取引を中継する最低手数料率の初期設定を0.1 sat/vBにした。ブロックに入れる取引の最低手数料率の初期設定も0.001 sat/vBに変えている。

一方、オーシャンが公開している自前のブロックのテンプレート(雛形)のノード設定は、別のノードソフトBitcoin Knotsのv29.2を使う。中継とブロックに入れる最低手数料率は、いずれも0.00001 BTC/kvB(1 sat/vB)だ。

オーシャンは、参加者が自分でテンプレートを作れる仕組みDATUM(デイタム)を提供している。Core版などの代替テンプレートの提供は2025年12月21日に終えた。Powreがどの設定でブロックを作ったかは、Kruw氏・オーシャン側の投稿やオーシャンの公開資料では示されていない。

オーシャンのクリス氏、取引を選ぶのは採掘者と反論

クリス氏は30日、Kruw氏の投稿を引用し、個々の採掘者がブロックに入れる有効な取引を、オーシャンは指図する立場にないと反論した。

同氏によると、デイタムでは採掘者が自分でテンプレートを作り、手数料を最大にする採掘者もいれば、独自の基準で取引を選ぶ採掘者もいる。同氏は、その選択に強く反対することはあっても、採掘者の自律を守ることは選ぶ権利を守ることだとした。

一方で、手数料を取り残すことは経済的に疑問があり、とりわけオーシャンの報酬分配の仕組みTIDESの参加者全員の利益になりうる場合はそうだという点には同意している。

27日の投稿では、スパムとみなした手数料つきの取引を意図的に外す採掘者がいるが、オーシャンが課した制限ではないと説明していた。直近12か月では、複数の採掘者が裏付けたデータで、この分配の仕組みはFPPSという支払い方式より3.6%多いビットコインを採掘者にもたらしたとも主張した。

同氏は30日の投稿で、ペイジョインやコインジョインなどの取引はもっと入ってほしいとしたうえで、その判断はプールの運営者ではなく採掘者がすることを望むと述べた。

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※価格は執筆時点でのレート換算(1 BTC=1,213万78円)

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仮想通貨歴6年。ニュース記者歴4年。常に仮想通貨ニュースを追う。情報ソースを追究し正しい情報をわかりやすく伝えることに努めている。仮想通貨は下落するたび買い増すタイプで、主にステーキングで資産運用中。
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