ジーキャッシュの助成金、半分超の約97億円分を手放す草案が公開

ジーキャッシュの助成金、半分超の約97億円分を手放す草案が公開
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水澤 誉往
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Highlights
  • ジーキャッシュ創設者らが30日(日本時間)、助成プログラムZCGに回るブロック報酬8%を新設の開発・法的防衛用のロックボックスへ移す草案を公開
  • ZCGが管理するZECの約55%にあたる5万ZECを誰も引き出せないアドレスへ送り、流通から外す内容も
  • ZCG自身も29日に資金を減らす構想を提示、草案の作成者の1人ショーン・ボウ氏は自らの別の草案を取り下げ

プライバシーを重視した暗号資産(仮想通貨)Zcash(ジーキャッシュ、ZEC)ZECZECの創設者ズーコ・ウィルコックス氏らは日本時間30日深夜、ブロック報酬のうち助成プログラムZcash Community Grants(ZCG)に回る8%を、将来のアップグレードで草案が有効になる時点で止め、新たに設けるロックボックスFuture Dev and Legal Defense Fund Lockboxに積み立てる改善提案(ZIP)の草案をGitHubで公開した。ZCGが管理するZECのうち5万ZECを、誰も引き出せないアドレスに送らせる内容も含む。草案の段階で、ZIP番号はまだ割り当てられていない。

ジーキャッシュの新草案、ZCGの8%を開発・法的防衛の基金に

草案の作成者は、Tachyon Groupを率いるショーン・ボウ氏と、Shielded Labs(シールデッド・ラボ)のズーコ氏、ジェイソン・マギー氏の3人だ。草案に記された作成日は29日で、参照実装はまだない。

2024年のZIP 1015は、同年11月の半減期から1年間、ブロック報酬の8%をZCGに、12%を、当時は引き出す方法が決まっていなかったロックボックスに回すと定めた。その後のZIP 1016で、8%のZCG向けは3回目の半減期まで続き、12%は保有者の投票で使い道を決める基金に回る。

今回の草案は、この8%の資金の流れを、草案が有効になる時点で終わらせる内容だ。3回目の半減期までの残り期間は、同じ8%が新しいロックボックスにたまる仕組みを提案している。保有者の投票で使う12%の基金への配分は変えない。

草案では、新しいロックボックスは鍵も管理者も持たず、使い方を定める将来のZIPができるまで、誰も引き出せない仕組みだ。草案は目的を「将来のジーキャッシュの開発と法的防衛のため」としているが、どのような法的リスクに備えるのかは書いていない。

草案によると、8%の配分は1日あたり144 ZEC、年5万2,560ZECになる。

ロックボックスの導入は合意ルールの変更にあたる。草案は、次期アップグレードNU7より後で、3回目の半減期より前に有効になるアップグレードで導入することを提案している。3回目の半減期は、NU7の有効化ブロック高3,543,405を前提にした草案の計算で、ブロック高6,132,390になる。

ジーキャッシュの草案、ZCGの5万ZECを誰も使えないアドレスへ──流通から除外

草案では、ZCG委員会は、この案がコミュニティに受け入れられてから30日以内に、5万ZECを指定のアドレスへ送る。資金はFinancial Privacy Foundation(FPF)が持つため、委員会がFPFに送金を指示する。

送り先のアドレスは、使う側が何を示しても必ず失敗するスクリプトに対応しており、誰も引き出せないという。JinaCoinが草案の示す手順で計算したところ、アドレスに含まれるハッシュは、そのスクリプトのハッシュと一致した。

ブロックエクスプローラーのZcash Block Explorerでは、日本時間31日7時2分時点でこのアドレスの残高は0.0056 ZECで、5万ZECの送金はなく、草案もまだ採択されていない。

草案では、このアドレスに送られたZECは、ロックボックスと同じアップグレードの有効化で流通から外れ、NU7で入るNetwork Sustainability Mechanism(NSM)の残高に加わる。NSMは、流通から外したZECを将来のブロック報酬として戻す仕組みだ。

5万ZECは、ZCGが管理するZECの約55%にあたる。JinaCoinの価格データによると、執筆時点(日本時間31日7時1分)で1 ZEC=19万4,807円で、5万ZECは約97億円になる。同じページの循環供給量1,701.5万ZECの約0.3%だ。

草案は提案の理由に、ZECの価格の急上昇でZCGの資金の価値がかつてなく膨らんだことを挙げた。草案が引くFPFの報告では、ZCGの2026年1〜6月の支出は471万8,359ドル(約7.4億円)だった。

草案はこれを2倍にして、年約944万ドル(約14.9億円)とした。1 ZEC=1,300ドルと仮定すると、8%の配分は年約6,833万ドル(約108億円)になり、支出の7倍を超えるという。

ZECドルの保有額未払いの助成を除いた価値2026年の支出水準で何年分
寄付前9万1,452.98ZEC879万6,224ドル(約13.9億円)1億2,530万ドル(約197億円)13.3年
寄付後4万1,452.98ZEC879万6,224ドル(約13.9億円)6,030万ドル(約95億円)6.4年
ZCGの資金の寄付前と寄付後。価値と年数は、草案が1 ZEC=1,300ドルと仮定して計算した値。保有額は草案が引いたZCGのダッシュボードの数値(日本時間22日のブロック基準。草案は独自に照合していないとしている)。出典:草案をもとにJinaCoin作成

草案は、寄付の後もZCGは残りの資金と助成プログラムを保つとしている。

ジーキャッシュ、ZCGの資金めぐり複数の草案──ZCG自身も削減案

ズーコ氏は日本時間31日未明、Xで草案を紹介し、フォーラムで支持を呼びかけた。フォーラムでは「ジーキャッシュのコミュニティはガバナンスの危機のさなかにある」と書き、対立の火種の一つはZCGで、ZECの価格上昇により資金と重要性が急に大きくなったと説明した。

同氏は、ZCGは長年ジーキャッシュの維持と開発に欠かせなかったと強調し、別の案を出した人には取り下げて今回の草案を支持するよう求めている。シールデッド・ラボはZCGから資金を受け取っていないとも付け加えた。

ZCGの資金については、今回の草案の前にも別の案がある。今回の草案は、ボウ氏が27日に出した草案と、29日にトム・ハワード氏が出したZCGを段階的に終える草案について、内容が重なる部分は代わりになる案だと位置づけている。

提案(公表日・日本時間)提案者ZCGへの8%ZCGの手元資金状態
8%をNSMへ回す草案(27日)ボウ氏NSMへ回す変えない31日に取り下げ
ZCGを段階的に終える草案(29日)ハワード氏変えない(止めるには別の合意ルールの変更が必要として、ボウ氏の草案を挙げる)。続く受け取りも清算の対象に新規の助成を止め、約束済みの助成などを払い、残りをNSMへ提出中(条件付きで取り下げの意向)
ZCGの削減案(29日)ZCG委員会保有者の基金の12%とともに毎月約3%ずつ減らし、終わりを2028年から2032年の半減期に延ばす。受け取りは2028年までの約10万9,000ZECから、2032年までで約4万7,000ZECに。減らした分はNSMへ支持があれば約9万1,500ZECのうち約3万6,200ZECをNSMへ構想段階
今回の草案(30日)ボウ氏、ズーコ氏、マギー氏新しいロックボックスへ5万ZECをNSMへ提出中
ZCGの資金をめぐる主な案。出典:GitHubのzcash/zipsとZcashフォーラムの投稿をもとにJinaCoin作成(31日時点)

ボウ氏は、今回の草案の公開から約44分後の日本時間31日0時28分に自らの草案を閉じ、直後に、今回の草案に譲って取り下げたとGitHubに書き込んだ。

ハワード氏も31日4時ごろ(日本時間)、ZCGが自らの構想を進めず今回の草案を支持すると約束すれば、自身の草案を取り下げて今回の草案を支持する考えをフォーラムで示した。一方、フォーラムには、急ぐ必要はなく3か月かけて決めるべきだとする投稿もある。

ZCG委員会は29日、フォーラムで「ZCGは必要以上のZECを受け取っている」と認め、自らの資金を減らす構想を示した。

同委員会によると、現行では2028年の半減期までに約10万9,000ZECを受け取るが、配分を毎月減らす構想では、2032年の半減期までの受け取りが約4万7,000ZECになるという。コミュニティの支持があれば、手元の約9万1,500ZECのうち約3万6,200ZECもNSMへ移すとしている。

委員会は、今回は最終的な提案ではなく、詳細を盛り込んだ正式版を書いているという。今回の草案と、ズーコ氏のフォーラムへの投稿は、この構想に触れていない。

関連:Zcash、NU7の本番有効化ブロック高が決定──ブロック間隔は25秒に
関連:Zcash、偽造ZECの不安に終止符へ──新計画「Ironwood」で供給を検証可能に

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=157.52円)

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株式会社jaybe 代表取締役。香川県三豊市出身。2010年4月、株式会社一誠社入社。2011年よりFX取引を開始。2016年3月30日、bitFlyer代表取締役社長・加納裕三氏が出演する動画で仮想通貨に興味を持ち、 1BTC価格47,180円で0.02BTCを購入したことが仮想通貨投資の始まり。2017年11月、仮想通貨投資で身に付けた知識・経験を活かし、自身初のブログ「次男坊の仮想通貨な日」を立ち上げ。2018年4月、JinaCoinの前身である「ジナキャッシュ」開設。2019年10月、収益の安定化に成功し、株式会社一誠社を退職、個人事業主として独立。2020年6月、事業拡大に伴い、株式会社jaybe(法人番号:7470001018079)を創業。 2023年、メディアの名称を「JinaCoin」に変更。月間15万PVを超える仮想通貨情報メディアに成長させる。現在は仮想通貨投資を行う傍ら、仮想通貨の普及活動やマーケットリサーチ等を行なっている。2024年6月、一般社団法人 日本クリプトコイン協会の「暗号通貨認定アドバイザー」資格を取得。仮想通貨投資活動:現物保有・デリバティブ取引・DeFi運用・エアドロップ活動。好きな銘柄:ビットコイン。著書:海外FXのはじめ方完全ガイド。WEB取材:凄腕FXトレーダーへインタビュ ー!vol.8=TitanFX。趣味:投資全般・SEO・読書
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