トークン発行に慎重姿勢も可能性は否定せず
暗号資産(仮想通貨)ウォレット「MetaMask(メタマスク)」の共同創設者ダン・フィンレイ氏が、同ウォレットのネイティブトークン発行の可能性を示唆した。14日、海外の仮想通貨メディア「The Block(ザ・ブロック)」のポットキャスト番組「The Crypto Beat」に出演したフィンレイ氏は、トークン発行の可能性を完全には否定せず、「あり得る」との含みを持たせる発言を行った。
フィンレイ氏の発言の背景には、トランプ政権下で進行する米国での仮想通貨規制の変化があるとみられる。特に米証券取引委員会(SEC)は反仮想通貨派のゲイリー・ゲンスラー氏の委員長退任や仮想通貨タスクフォースの創設等により、これまでの反仮想通貨的な流れが払拭されつつある。より柔軟かつ整合的な仮想通貨規制枠組みの構築が期待されている状況だ。
こうした規制緩和ムードを受け、フィンレイ氏は「はるかに多くの種類のトークンローンチに安全性がある」と述べ、規制の明確化によるトークン発行が現実的になりつつあるとの見解を示した。ただし、「依然として多くのプロジェクトが法的なグレーゾーンに存在している」とも指摘しており、慎重な姿勢を維持している。
The Blockによれば、メタマスクは2021年頃から「MASK」という仮称でのトークン発行計画について議論が続けられてきたという。2022年にはメタマスクの親会社「ConsenSys(コンセンシス)」CEOのジョセフ・ルービン氏がトークン発行とあわせ、資金調達メカニズムとなるDAO(分散型自立組織)設立を検討していたとも報じている。こうした背景からも、SNSを中心に仮想通貨業界ではトークン発行への期待感が高まっていた。
その一方、フィンレイ氏は偽トークンによる詐欺や投機リスクに対して強い懸念を示している。2023年3月、「メタマスクでスナップショット・エアドロップが31日に行われる」という噂がSNS上で浮上。メタマスク公式はこれを誤った情報として公式Xで否定した背景がある。こうした点を考慮してかフィンレイ氏は「もし実現すればウォレット内で直接告知されるだろう」と述べており、公式からの正式なアナウンスを行うことを強調した。
トークン発行に関する議論は続いている様子だが、フィンレイ氏の発言からするとあくまで「可能性がある」という段階にとどまっている。現時点で具体的な計画や時期が決まっているわけではないため、偽情報に注意しながらメタマスクの今後の動向を見守っていく必要があるだろう。
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