ステーブルコインを入れて使う暗号資産(仮想通貨)カードのKASTは2日までに、利用者に付与してきたKASTポイントについて、付与を11月30日で終えると公式のヘルプページで公表した。暗号資産(仮想通貨)のトークンを発行するトークン生成イベント(TGE)は行わない。条件を満たすポイントは12月第1週に、売買できない契約上の権利であるKAST Pioneer Units(KPU)に転換する。同社は2024年から、ポイントをトークンのエアドロップにつなげると公式Xで説明していた。
KASTのKPUは売買できない権利、ポイントは11月末終了
ヘルプページによると、標準のプログラムでは、KPUはKASTに関連する特別目的事業体(SPV)が、プログラムの規約に基づいて発行する。規約に基づく契約上の権利で、KASTや発行体の株式・持ち分ではない。発行体の名前は12月の通知で示すという。
KPUは所有権や議決権を伴わず、売却・譲渡・取引もできない。現金としての価値も保証されていない。
同社によると、KPUの名目上の経済価値は、増えることも減ることもある。ただし引き出せる現金ではなく、将来の支払いも保証しない。将来は定期的に現金化できる機会を設ける計画だとしている。
転換に支払いは要らない。転換後の残高と計算方法は、12月の通知で示す。
転換したKPUを保持するには、12月の通知に書かれた期限までに、アプリ内で転換を承諾する短い手続きを済ませる必要がある。標準の規約では、期限までに済ませないとKPUは取り消され、元のポイントは戻らず、代わりの報酬もない(適用される法律の範囲で)。
いまポイントを貯めている利用者は、11月30日まで条件を満たす支払いなどで貯め続けられ、30日までに得たポイントが転換の計算に入る。今回の変更で、ポイントを貯められる人は広がらない。キャッシュバックは続ける。
4月29日発効と表示されたKASTの現在の報酬プログラム規約は、同社がポイントの付与を止められると定める。止める日の少なくとも14日前に利用者へ知らせるが、法令などで必要な場合や不正を防ぐ場合は、通知を短くしたり、すぐに止めたりできる。
止める前に有効に付与したポイントは、付与の停止を理由に失効しない。ただし、規約の取り戻し(クローバック)の定めなどには従う。
規約には、ポイントの付与が続くことや、転換などの特典が用意されることについて、利用者は権利も期待も持たないと認める、との一文もある。
KPUの対象は残高と居住国で決まる、米国は別
KPUの対象になるかどうかは、ポイントの残高、KASTの口座の残高、居住国、法律・規制上の要件で決まる。対象外の利用者の一部には、対象の支払いに使えるKASTの報酬バウチャーを配る。バウチャーは現金ではなく引き出せず、内容は12月第1週に知らせる。KPUの対象者がバウチャーを選ぶことはできない。
米国の利用者は、法規制が異なるため、別の米国向けプログラムを通じてのみKPUを受け取れる。規約や対象の要件、確認(審査)の手順、時期も別に定める。そのプログラムの対象外の人や手続きを終えなかった人には、バウチャーを配る。
対象外となる国の一覧はヘルプページになく、日本の居住者の扱いも書かれていない。どの扱いになるかは、利用者ごとに送ったメールとアプリ内の告知で示しているという。
KASTは公式サイトで、自社は銀行ではなく、バーチャル口座やカード、資産の保管などのサービスは認可を持つ提携先が提供すると説明している。
JinaCoinの国内の暗号資産交換業者一覧(金融庁の9月30日現在の登録一覧を集計)にKASTは載っておらず、金融庁が警告した無登録業者の一覧にも名前はない(執筆時点)。
KASTは2024〜25年、TGEを前提にポイントを説明
| 時期 | 発信 | ポイントの行き先の説明 |
|---|---|---|
| 2024年11月 | KAST公式X | 初期の利用者に報いるエアドロップのプログラムがあるとして、TGEまでにポイントを貯める方法を紹介 |
| 2025年9月 | KAST公式X | Xでの返信で「TGE in 2026」と投稿。別の返信では、ポイントはトークンのエアドロップのためと説明 |
| 2026年7月 | 最高経営責任者(CEO)のラーグラン・パシー氏のX | 利用者にトークンを配らず、ポイントを株式に連動する仕組みに移す方針。移行は10〜12月の予定どおりと説明 |
| 今回(11月2日までに公表) | 公式ヘルプページ | TGEは行わず、条件を満たすポイントを12月第1週にKPUへ転換 |
パシー氏は7月の投稿で、仕組みの詳細は詰めている段階としつつ、大枠として、ポイントの名目上の価値を、投資家が直近に払った株価を使って株式連動の仕組みに置き換えると説明していた。今回のヘルプページは、KPUを株式ではないとし、株式との連動には触れていない。計算方法は12月に示すとしている。
ヘルプページは、トークンを出さない理由について、トークン発行の結果は大きくばらつくことがあり、短期の売買はコミュニティ全体に長く続く価値を生むとは限らないためだと説明する。
パシー氏は2日夜(日本時間)のX投稿で、転換の仕組みは大手法律事務所との長く費用のかかる手続きと投資家の承認を経て作ったと述べた。数十か国について法律意見を得たという。現金化の機会は定期的に設けるが、金額や日付、価値が上がるか下がるかは法律上約束できないとした。
同氏は、トークンを出さないことで、チームと投資家は株式を持ち続けることになると説明し、自身はKASTの株式を差し引きで買い越しているだけで、売ったことはないと述べた。
パシー氏は、国ごとの規則で使える言葉は非常に限られているとし、承認された文言にとどめるため、多くのコメントには返信しないとしている。
