ビットコイン市場、弱気相場ではなく調整局面=CryptoQuant分析

伊藤 将史
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過熱感や下落リスクは限定的、損益マージンも急騰せず

オンチェーンデータ分析プラットフォーム「CryptoQuant(クリプトクワント)」は20日、現在の市場状況に関する分析レポートを公開した。弱気相場サイクルと典型的な調整局面の違いを判断するための枠組みを提示し、現在の市場が本格的な弱気トレンドの入り口ではなく、一時的な調整である可能性を示唆した。

公開された分析では、市場参加者が現在どれだけの利益または損失を実現(確定)しているかを測る「プロフィット/ロスマージン(損益率)」が重要な指標として用いられている。この指標の変動パターンによって弱気相場と調整局面を区別できると、執筆者のクリプト・ダン氏は指摘する。

Profit/loss margin
出典:CryptoQuant

レポートによると、本格的な弱気相場サイクルが始まる前には、通常ビットコイン価格の急騰が見られ、それに伴い損益マージンも急上昇する。しかし、価格が市場参加者の平均取得コストを下回ると、多くの参加者が損失を確定し始めるため、損益マージンは大幅に低下するという特徴がある(画像の赤枠部分)。

一方、典型的な調整局面でも価格下落は見られるが、その前の価格上昇局面での損益マージンの増加は限定的であるとされる。そのため、価格が下落に転じた際の損益マージンの低下も穏やかなものに留まる傾向があるという(画像の緑枠部分)。

今回の価格下落に先立つビットコインの上昇局面は比較的穏やかであり、市場の過熱感も限定的だった。これは、弱気相場入りの前兆とされる損益マージンの急騰が見られなかったことを意味する。これらを踏まえ、ダン氏は現在の市場について「完全な弱気相場というより、典型的な調整局面に近い可能性が高い」と結論づけ、現在の下落局面における下振れリスクも相対的に抑えられていると分析している。

ビットコインの単価が大きくなるにつれて、価格が少し動いただけでも市場参加者は「暴落か?」と不安になりがちである。クリプトクワントの分析は、感情的な判断を避け、今の状況が本格的な弱気相場なのか、それとも一時的な調整なのかを冷静に見極める際の参考になるものと言えるだろう。

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2017年の仮想通貨ブームの頃に興味を持ち、以降Web3分野の記事の執筆をし続けているライター。特にブロックチェーンゲームとNFTに熱中しており、日々新たなプロダクトのリサーチに勤しんでいる。自著『GameFiの教科書』。
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