東証グロース上場の「株式会社コンヴァノ(証券コード:6574)」は4日、2027年3月末までに21,000 BTCの保有を目指す「コンヴァノ21,000ビットコイン財務補完計画」を発表した。同社は20億円規模の第3回普通社債を発行し、計画の初期段階となるPhase Iのビットコイン(BTC)取得に充てる方針で、ネイル事業を主力とする企業による大規模暗号資産(仮想通貨)投資として注目を集めている。
積極的なビットコイン投資で企業価値向上を目指す
同社は7月以降、段階的にビットコインを購入しており、その投資規模は急速に拡大している。7月17日の取締役会で4億円相当のビットコイン購入を決議し、7月22日に初回購入(22.6289 BTC)を実行。平均購入単価は1 BTCあたり1,767万6,523円で、購入資金は全額自己資金で賄われた JinaCoin。
わずか2日後の7月24日には、さらに積極的な投資姿勢を示し、10億円相当(57.2931 BTC)の追加購入を完了した。この購入では平均単価が1,745万4,084円となり、前回よりも有利な価格での取得に成功している。購入資金には第1回普通社債で調達した約10億円を充当し、累計保有量は79.92 BTCに達した JinaCoin。
累計29億円の投資で戦略を本格化
7月31日には最大規模となる15億円相当(85.0035 BTC)のビットコイン購入を完了し、累計保有量は164.9255 BTCとなった。平均購入単価は1,764万6,332円で、総投資額は約29億円に達している。この購入には第2回普通社債で調達した資金が充当され、同社のビットコイン戦略が本格化していることを示している。
同社は「ビットコイン保有戦略室」を新設し、仮想通貨業界の黎明期からエンジニア兼経営戦略家として活動してきた取締役の東大陽氏を室長に任命している。東氏の専門性を活かし、組織的な運用体制を構築することで、戦略的なビットコイン投資を推進している。
コンヴァノがビットコインを保有する目的は、仮想通貨を「企業の価値保全資産」として財務設計に組み込むことにある。インフレ耐性の確保、購買力の防衛、通貨分散の実現を通じて、株主に最大限の価値を提供することを目指している。同社はビットコインを利益獲得を狙う「攻めの資産」ではなく、企業財務の柔軟性を保つための購買力防衛手段として位置づけている。
社債発行による資金調達でKPI達成へ
21,000 BTC保有計画の実現に向けて、同社は8月4日付で20億円規模の第3回普通社債を発行することを正式に決議した。この資金を活用し、8月末までに追加のビットコイン取得(Phase Iの一部)を予定している。
IFRS会計処理については現在検討中としており、ビットコイン保有に係る損益が業績に与える影響についても継続的な監視体制を構築している。同社は「今後も積極的にビットコインを取得する方針」と表明しており、追加投資の可能性も示唆している。
ネイル事業を主力とする企業による大規模仮想通貨投資は、国内上場企業の財務戦略多様化の新たな潮流として注目される。コンヴァノの戦略的な取り組みが、他の企業の仮想通貨採用にどのような影響を与えるかが注目されている。
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