CoinSharesら、米SECと仮想通貨ETP規制について実務協議──制度改善を提案

伊藤 将史
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画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ステーキング、カストディ、承認基準など5つの主要論点を協議

大手デジタル資産運用会社「CoinShares International Limited(コインシェアーズ)」が、米証券取引委員会(SEC)の「Crypto Task Force(仮想通貨タスクフォース)」および法律事務所「Chapman & Cutler LLP(チャップマン・アンド・カトラー)」と3日、暗号資産(仮想通貨)ETP(上場取引型金融商品)の規制に関連する諸問題について会合を開き協議したことが明らかになった。

仮想通貨ETPは、ビットコインイーサリアムなどの仮想通貨の価格に連動するように設計された金融商品で、株式のように証券取引所で売買可能な金融商品である。ETPにはさまざまな種類があり、例えばETF(上場投資信託)もETPの一種に含まれる。

米国ではすでに現物ビットコインETFなど一部の仮想通貨ETPが承認・取引されているが、今回の会合では、それら既存の商品群に加え、ステーキング報酬を伴う商品や複数の仮想通貨に連動するETPなど、より幅広い商品とその規制のあり方について議論が行われたと見られる。

コインシェアーズは、2015年に欧州で初めてビットコインETPをローンチするなど、仮想通貨投資商品のパイオニア的存在。現在は欧州の主要取引所で20種類に及ぶ仮想通貨ETPを提供しており、さらに現物ビットコインETFなどを通じて米国市場にも積極的に参入している。

今回のSECとの会合で、コインシェアーズは米国の仮想通貨ETP市場の発展に不可欠と考える5つの主要な論点について議論を行った。SECが公開した資料によると、主な議題は以下のとおりである。

  1. プルーフ・オブ・ステーク(PoS)を採用する仮想通貨(イーサリアムなど)のETPにおいて、投資家がステーキング報酬を享受できる仕組み
  2. 新規デジタル資産ETPの申請に関する適切な審査基準
  3. デジタル資産ETPのための保護的かつ柔軟なカストディ規則の策定
  4. 現物拠出・償還と現金拠出・償還の導入
  5. 登録投資会社によるデジタル資産(特にデジタル資産ETP)投資の許容範囲

まとめると、より多様な仮想通貨ETPを米国市場に導入するにあたって、必要となる仕組みをいかに実現するかという建設的な議論が行われた模様だ。今回の会合は、米国の仮想通貨ETP市場のさらなる発展に向けた重要な一歩となる可能性があり、SECの今後の対応が注目される。

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2017年の仮想通貨ブームの頃に興味を持ち、以降Web3分野の記事の執筆をし続けているライター。特にブロックチェーンゲームとNFTに熱中しており、日々新たなプロダクトのリサーチに勤しんでいる。自著『GameFiの教科書』。
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