米国中心に資金流出、仮想通貨市場に逆風
資産運用会社「CoinShares(コインシェアーズ)」は10日、暗号資産(仮想通貨)の上場取引型金融商品(ETP)に関する週間レポートを公開した。レポートによると、仮想通貨投資商品は先週、8億7,600万ドル(約1,288億円)の資金流出が発生した。資金流出は4週連続で続いており、4週累計で47億5,000万ドル(約6,986億円)となり、年初来の流入額は約26億ドル(約3,824億円)まで縮小した。

仮想通貨ETP全体の運用資産総額(AuM)は、過去最高値から約390億ドル(約5.7兆円)減少し、約1,420億ドル(約20兆円)となった。これは2024年11月中旬以来の水準だ。
地域別に見ると、米国が最も大きな流出額を記録し、9億2,200万ドル(約1,355億円)の資金を引き揚げた。一方で、スイスでは2,300万ドル(約33億円)、カナダでは1,470万ドル(約21億円)、ドイツでは1,330万ドル(約19億円)の資金流入が確認された。
流出の中心となったのはビットコインであり、先週だけで7億5,600万ドル(約1,111億円)の資金が流出した。さらに、ビットコインをショートする商品も1,980万ドル(約29億円)の流出を記録し、2024年12月以来最大の流出額となった。
仮想通貨だけでなく、ブロックチェーン関連株式の上場投資商品もネガティブな市場心理の影響を受け、先週だけで4,800万ドル(約70億円)の資金流出となった。
今回の資金流出は、仮想通貨市場における売り圧力の高まりを反映しており、特に米国市場の動向が強く影響している。一方で、一部の地域や銘柄では資金流入が続いており、投資家による選別が進んでいることも示唆される。市場の回復には、投資家心理の改善やマクロ経済環境の安定が不可欠である。今後の市場動向を注視し、投資戦略を見極めることが求められる。
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