暗号資産(仮想通貨)のビットコインは約7カ月ぶりに9万ドル割れを記録した。18日には直近最安値となる8万9,189ドルを付けており、現時点(19日13時)では9万1,000ドル台を推移中。投資家のリスク志向が後退する中、年度末に向けた決済の動きが重なっているとみられる。

ビットコインは5月8日に価格を再び10万ドル台に乗せて以降、9万8,000ドルが強い抵抗線として機能していた。しかし、日米貿易摩擦や米政府機関封鎖などの影響で下落の流れが始まると、11月4日からは9万8,000ドル台での攻防を開始。先週金曜日に大きく下抜けたことで底固めに失敗し、以降もずるずると売り優勢が続いている。
マーケットでは米利下げ観測の揺らぎや長期にわたる上昇への調整が懸念されており、年末に向けた調整局面とする見方が強まっているようだ。
FOMC議事録公表を前に、利下げを巡るFRB内の意見が割れる
12月の利下げ実施について、依然としてFRB関係者の意見相違が目立つこともリスクオフの要因と考えられる。
米連邦準備理事会(FRB)のジェファーソン副議長は17日、「ここ数カ月で経済のリスクバランスが変化したとみている。具体的にはインフレの上振れリスクがやや低下する一方、雇用の下振れリスクが高まっている」と発言。追加利下げの是非をめぐり、柔軟かつ慎重な姿勢を維持していることが伺える。
また、FRBのウォラー理事は17日、「米政府閉鎖中に入手可能だったデータは雇用市場がほぼ失速状態にあることを示しており、0.25%ポイントの利下げを行う根拠となる」と述べており、12月利下げを支持する姿勢を示した。
連日、FRB関係者による利下げ可否の意見が飛び交う中、日本時間の明日未明にはFOMC議事録(10月28日-29日開催分)が公表される。投資家としては、議事録を通して利下げに対する姿勢を再確認し、12月利下げの可能性を模索していきたいところだ。
米政権、CARF参加に向けた税務報告ルールを審査
ホワイトハウスは、米国内国歳入庁(IRS)が国外で行われる米国納税者の暗号資産取引データを入手し課税できるようにする新たな規則案を審査していることがわかった。なお審査内容は米政府の規制情報ポータル「Reginfo.gov」上で確認することができる。
同規制は経済協力開発機構(OECD)が2022年に策定した暗号資産報告枠組み(CARF)への米国参加が目的。CARFとは加盟国が自国民の暗号資産保有情報を自動的に共有することで国際的な租税回避を取り締まるための国際協定であり、すでに日本・ドイツ・イタリア・イギリス・フランス・シンガポール・バハマなどが署名している。
米国が参加することは海外の無登録業者に対する包囲網がまた一歩狭まると期待されており、国際的な脱税防止と税務透明性の向上から、暗号資産にとってはポジティブな要素になると思われるため、審査の進捗状況も注意しておきたい。
関連:ビットコイン、一時9万2,000ドル台まで下落──今年の上昇分を帳消しに
関連:FRB高官が相次ぎタカ派発言──ダウ800ドル安、BTC10万ドル割れ




