ビットコインのハッシュレート、史上初1ZH/s突破|マイナー収益性は過去最低に

伊藤 将史
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価格低迷下でも採掘競争は過熱

4日、ビットコインのハッシュレートが史上初めて1ZH/s(ゼタハッシュ/毎秒)を突破した。

ハッシュレートとは、マイニングをする際の1秒あたりの計算力、採掘速度を示す数値である。ビットコインをマイニングするために、ネットワーク全体で1秒あたりどの程度のマシンパワーが投じられているのかを示している。また、ハッシュレートが高いほどビットコインのネットワークが外部からの攻撃に対して強く、セキュリティが高い状態となる。

出典:Blockchain.com
※1ZH/s=1000EX/s(エクサハッシュ)

図は、ビットコインのハッシュレート(青色)と、価格(黒色)を示したチャートである。ビットコインの誕生以来、ハッシュレートはほぼ右肩上がりで上昇し、2022年頃からは特に急激な伸びを見せている。

ハッシュレートの変化は、マイニング参加者(参加マシン)の増減を示しており、「ビットコインの需要」や「ビットコインへの期待感」を示す指標としても用いられている。4日に史上初めて1ZH/sを突破したことは、ビットコイン価格が大きく下落する中でも、ビットコインの需要が伸び続けていることを示していると読み取れるのだ。

ただし、ハッシュレートの増減に関わらず、マイニングによって新規発行されるビットコインの量は一定となっている。つまり、ハッシュレートが上昇するほどマイナー同士の競争が熾烈になり、一定のハッシュパワー(マシンの計算能力)で得られるビットコインの量は減少することになる。

その結果、ハッシュプライスの数値は減少しており、7日には史上最低の39.02050ドル(約5,757円)まで低下した。ハッシュプライスとは、1PH/s(ペタハッシュ/秒)あたり1日で得られる収益性(米ドル換算)を表す指標であり、マイナーの実質的な利益に直結する重要な数値である。

出典:HASHRATE INDEX

ハッシュレートが歴史的な上昇を記録するなかで、ビットコイン価格が大きく下落したことを受けて、マイナーの収益性が史上最低の水準にまで落ち込んでしまったのだ。

収益性が低い状態が続けば、マイニング事業から撤退するマイナーが増え、結果的にハッシュレートの低下につながってしまうと懸念されている。ハッシュレートの低下はビットコインのセキュリティ低下につながり、「ビットコインへの期待感が下がった」との印象を市場に与える可能性もあるからだ。

ハッシュレートと価格の相関性については諸説あり、価格に直結するわけではないが、「ビットコインへの期待感」を示す指標として、今後の推移を注視しておこう。

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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.54円)

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2017年の仮想通貨ブームの頃に興味を持ち、以降Web3分野の記事の執筆をし続けているライター。特にブロックチェーンゲームとNFTに熱中しており、日々新たなプロダクトのリサーチに勤しんでいる。自著『GameFiの教科書』。
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