大手暗号資産(仮想通貨)取引所「Binance(バイナンス)」は10日、運用資産1.6兆ドル(約235兆円)を誇る米資産運用大手「フランクリン・テンプルトン」と、デジタル資産分野における新たな取り組みや商品開発で戦略的に提携すると発表した。両社は、伝統的な金融とブロックチェーン技術を融合させ、資本市場の効率性、透明性、アクセス性を高めることを目指す。
伝統的金融の知見と仮想通貨の革新性を組み合わせ、新たな金融商品の提供へ
フランクリン・テンプルトンは規制に準拠した証券のトークン化に強みを持ち、バイナンスは世界規模の仮想通貨取引インフラと広範な投資家基盤を有している。
両社はこれらを組み合わせることで、資本市場における効率性や透明性を向上させるだけでなく、利回り機会の拡大や決済スピードの改善にもつなげるとしている。また、伝統的金融のスケールと分散型市場の機動性を橋渡しし、幅広い投資家のニーズに対応したソリューションを提供することを狙う。
発表の中で、フランクリン・テンプルトンのデジタル資産部門責任者ロジャー・ベイストン氏は「投資家はデジタル資産への関心を強めているが、それらはアクセス可能で信頼できる仕組みでなければならない」と強調した。そのうえで「バイナンスとの協力により、グローバル資本市場の要件を満たす革新的な商品を提供し、決済や担保管理、ポートフォリオ構築における効率化を大規模に実現できる」と述べ、実際の市場での展開に意欲を示した。
フランクリン・テンプルトンは世界有数の資産運用会社であり、その長年培った信頼と規模は伝統的金融を象徴している。その同社が、世界最大級の仮想通貨取引所であるバイナンスと提携することは、従来の金融機関がデジタル資産を真剣に取り込もうとしている動きの表れだ。両社の組み合わせは、デジタル資産が単なる新興分野ではなく、既存金融の一部として位置づけられ始めたことを示している。
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