米連邦保安官局(USMS)が司法省の指示を受け、没収したビットコイン
BTCを米大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベース・プライムを通じて売却した可能性が浮上している。大手暗号資産メディアBitcoin Magazine(ビットコインマガジン)の報道によると、この資産売却はドナルド・トランプ米大統領が発令した大統領令に違反している可能性があるという。
保管を経ずに取引所へ直接送金、アドレス残高はゼロ
今回問題となっているのは、プライバシー保護機能を備えたサムライ・ウォレットの開発者であるケオン・ロドリゲス氏とウィリアム・ロナーガン・ヒル氏が、司法取引の一環として政府に引き渡したビットコインだ。なお、両名は2024年2月に提訴され、事件自体は2025年11月にすでに終結している。
ビットコインマガジンが独占入手した文書によると、2025年11月3日に約630万ドル(現在レート:約9.8億円)相当のビットコインがUSMSによる保管を経ず、直接コインベース・プライムのアドレスへと送金されたという。現在、そのアドレス残高はゼロとなっており、すでに売却または換金された可能性が高いとみられている。
この件が注目を集める背景には、トランプ米大統領が2025年3月に署名した「大統領令14233」の存在がある。同命令は、刑事没収によって政府が取得したビットコインを「戦略的ビットコイン準備金」として国内で保有することを義務付け、原則として売却を禁じている。もし今回の売却が事実であれば、連邦機関が大統領の明確な方針に反したことになる。
さらにビットコインマガジンは、この訴追を主導したニューヨーク州南部地区について、連邦政府の方針よりも独自判断を優先する姿勢を強めていると指摘する。同地区は2025年4月に司法省が示した「技術開発者を標的とした訴追を停止する」との指針を無視してきた経緯があり、今回の資産売却もその延長線上にあるとも捉えられそうだ。
トランプ政権がビットコインを国家戦略上の重要資産と位置付ける一方で、法執行の現場では依然として没収資産は速やかに処分すべきだとする従来の慣行が根強いことが、今回の問題で浮き彫りになった。政府と現場での方針の乖離が、今後どのような形で是正されていくのかが注目されそうだ。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=156.3円)




