商工中金のトークン化預金で貿易決済を検討、書類と代金を同時に決済

商工中金のトークン化預金で貿易決済を検討、書類と代金を同時に決済
DCJPYより引用
shoko-koyama
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Highlights
  • DCPとSTANDAGE(スタンデージ)が28日、商工組合中央金庫(商工中金)の参加のもと、電子船荷証券とトークン化預金「DCJPY」の同時決済の共同検討を開始
  • 両社の発表は2028年度の商用化が目標、商工中金の発表は時期に触れず、実現可能性の検証と実証実験の準備を記載
  • DCJPYはこれまで環境価値やデジタル社債の決済で利用・検証、今回は輸出入の書類と代金の受け渡しが対象

中堅・中小企業の輸出支援を手がけるスタンデージと、DCJPYの基盤を運営するDCPは28日、商工中金の参加のもと、電子船荷証券と、商工中金が発行するトークン化預金「DCJPY」を連携させた決済の仕組みの共同検討を始めたと発表した。輸出入で電子船荷証券の権利の移転と代金の支払いを同時に行う仕組みで、両社は2028年度の商用化を目指す。商工中金も同じ日に発表を出したが、2028年度には触れていない。

電子船荷証券とDCJPYの同時決済を検討、商工中金は「実現可能性を検証」

両社によると、スタンデージが採用するCargoX社の電子船荷証券の基盤と、DCPのトークン化預金の基盤をつなぐ構想だ。スマートコントラクト(自動で実行されるプログラム)で、電子船荷証券の権利の移転と代金の支払いを同時に行うDvP(同時履行)決済の実現を目指す。

輸入企業の手続きの後、銀行による所定の確認を経て権利の移転と決済ができる流れだという。

スタンデージは2017年設立で、中堅・中小企業向けの輸出支援サービスのほか、貿易のデジタルプラットフォームやブロックチェーンを使う貿易決済システムを開発・提供している。

トークン化預金は、銀行預金をブロックチェーンなどの技術でデジタル上で扱えるようにしたもの。

両社は、紙の船荷証券を使う今の貿易実務では、書類の郵送に時間がかかり、代金を回収できない危険もあると説明する。貨物が書類より先に着くと、高額な滞船料(デマレージ)が生じる課題も挙げた。

商工中金の発表の注によると、DCJPYはDCPの基盤の上で金融機関が発行・償還する。両社の発表では、将来はほかの金融機関も同じ基盤でトークン化預金を発行し、スタンデージの貿易プラットフォームとつなげられるとしている。DCPは、将来は国際的な決済網Partiorなどとの連携も視野に入れる。

商工中金の発表は、DCPとスタンデージとともに共同検討を始めたとし、この仕組みについて「実現可能性を検証します」と書いた。さらに「実証実験を通じて商用化に向けた課題の整理を進めてまいります」とした。

商工中金は商用化の時期を示しておらず、実証実験を始める時期は両社の発表にも見当たらない。

商工中金は2月16日付でスタンデージと資本・業務提携を結び、同社の第三者割当増資を引き受けて株式2.1億円を取得した。28日の2つの発表は、この提携に触れていない。スタンデージは提携を伝えた3月10日の発表の副題で、当時「ステーブルコインを活用した貿易決済の社会実装を加速」と掲げていた。

電子船荷証券をめぐっては、政府が23日、「商法及び国際海上物品運送法の一部を改正する法律案」を閣議決定し、国会に提出した。法務省の法律案要綱によると、成立すれば、施行は一部を除き、公布から1年を超えない範囲で政令で定める日になる。両社の発表は、2027年度中の施行が見込まれるとしている。

DCJPYなどDCPの基盤の事例と、貿易決済の電子化の動き

DCPの沿革によると、DCJPYのネットワークは2024年8月、初の商用サービスとして利用が始まった。現在のDCPは、持ち株会社のディーカレットホールディングスが7月にディーカレットDCPを吸収合併し、社名を変えた会社だ。

DCPと各社の発表をもとに、DCPの基盤を使うトークン化預金の主な事例を次の表にまとめた。

発表関わる銀行使い道発表時の段階
2024年8月GMOあおぞらネット銀行(DCJPYを発行)環境価値をデジタル化した資産の決済(インターネットイニシアティブ)決済取引を開始
2025年9月ゆうちょ銀行DCPの基盤を使うトークン化預金で、NFT(非代替性トークン)やセキュリティトークンの取引に連動する決済2026年度中をめどに取り扱いの開始を検討
2026年4月SBI新生銀行(DCJPYを発行)デジタル社債の二次流通でのDvP決済6社で検証を完了
2026年6月北陸銀行DCJPYネットワークを使う決済事業。企業間決済、給与振込、地域通貨などを検討基本合意、2027年度中のサービス開始が目標
2026年10月商工中金(DCJPYを発行する想定)電子船荷証券と代金のDvP決済共同検討を開始、実証実験の準備
出典:DCPと各社の発表をもとにJinaCoin作成(10月29日時点)

4月に発表された事例は、SBI証券や大和証券などの6社が、SBI新生銀行が発行したDCJPYを使って検証した。今回の検討は、輸出入の書類と代金を同時に受け渡す用途になる。

金融庁の「FinTech実証実験ハブ」に4月に採択されたトークン化預金の銀行間決済の検証では、DCPなどが8月26日に発表した43社の参加企業の一覧に、商工中金が参加銀行の1つとして載っている。28日の2つの発表に、この検証への言及はない。

貿易決済の電子化では、ステーブルコインを使う動きもある。金融庁は9月29日、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行など6社が申し込んだ貿易決済でのステーブルコインの実証実験の支援を決めた。実務上の対応を検証し、法的な論点を整理する。

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仮想通貨歴6年。ニュース記者歴4年。常に仮想通貨ニュースを追う。情報ソースを追究し正しい情報をわかりやすく伝えることに努めている。仮想通貨は下落するたび買い増すタイプで、主にステーキングで資産運用中。
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