規制の懸念解消、IMX価格18%上昇
オーストラリア拠点のWeb3ゲームブロックチェーン「Immutable(イミュータブル)」は26日、「SECは、当社および関連当事者に対する調査を正式に終了し、違法行為は認められなかったため、何ら執行措置を取らない」との通知を受け取ったと発表した。
同社は、発行する「IMXトークンの配布スキーム」が未登録証券の販売に該当する可能性があるとして、SECからきびしい調査を受けていた。
まさに今の暗号資産(仮想通貨)業界に一筋の光をもたらすニュースだ。そもそもSECとはアメリカの証券取引委員会であり、近年は仮想通貨にあれこれ目を光らせ、どのトークンが未登録証券にあたるかをきびしく追及していた。イミュータブルに対しても「Wells(ウェルズ)通知」という事実上の法的警告が送付され、IMXトークンがあやしいのではないかと疑いをかけられていた。しかしふたを開けてみれば、調べた末に「お咎めなし」でフィニッシュ。これは、SECが調査から手を引いた形である。
業界としても、何でもかんでも「トークン=証券」と決めつけられてはたまったものではない。イミュータブル側としては「証券ではなく、ただのNFTゲーム用のユーティリティトークンですよ」と主張しながらも、SECに分厚い資料を提出して釈明を行うなど、やっかいな対応を強いられた。しかし最終的にSECが“証券法違反”と断じるほどのネタは見つからず、イミュータブルは勝利を勝ち取った。
本件の重要性は、「SECの追及も必ずしも全面戦争や焦土作戦にはならない」ということを象徴的に示した点にある。特に2023年から24年ごろは、「Ripple(リップル)」や「Coinbase(コインベース)」などが提訴され、仮想通貨業界全体がきびしく取り締まられていた。しかし今年に入って政権交代やトップ交代などの追い風もあり、SECの態度は明らかにトーンダウンしつつある。イミュータブルのケースも、その流れを如実に表す例である。
投資家の視点で考えれば、「経営者が逮捕されるかも」とビクビクしていたリスクが解消されれば、IMXの価格が跳ね上がるのも当然だ。実際に発表直後、IMX価格は約18%上昇しており、市場は正直である。ブロックチェーンゲームの領域は、将来的に伝統的なゲーム産業や大手パブリッシャーが参入してくる余地が大きい。本件のニュースで、規制リスクが後退して、資金が流入しやすくなった。現時点の潮流として、当局サイドも業界をつぶすより共存方針にパラダイムシフトする局面にある。
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