仮想通貨規制強化の旗手の退任観測によりリップル急騰
米国証券取引委員会(SEC)のGary Gensler(ゲイリー・ゲンスラー)委員長は14日、証券規制に関する年次会議にて、辞任を示唆する発言を行った。「SEC職員と共に国民のために働き、米国の資本市場を世界最高の水準に保つことができたのは大きな栄誉だった」と過去形で語り、退任の意向を強くほのめかした。
この発言は、11月5日のドナルド・トランプ氏の大統領選勝利を受けたものだ。トランプ氏は選挙期間中に「就任初日にゲンスラー氏を解任する」と明言していた。
ゲンスラー委員長の在任中の主な実績は以下のとおり:
- Terraform Labs(テラフォーム・ラボス)とDo Kwon(ドー・クォン)氏に45億ドルの罰金
- Coinbase(コインベース)、Binance(バイナンス)など大手取引所への法的措置
- リップル社に対する証券法違反訴訟
- 2021年のビットコイン先物ETF承認、2024年の現物ビットコインおよびイーサリアムETF承認
John Reed Stark(ジョン・リード・スターク)元SEC法執行部長は、「今後SECは重大な不正事件以外では暗号資産(仮想通貨)業界への法的措置を取らないだろう」と予測。進行中の案件も早期和解に向かう可能性が高いとの見解を示した。
ゲンスラー氏の後任候補には以下の人物が挙げられている:
- Hester Peirce(ヘスター・パース)現SEC委員:「クリプト・マム」と呼ばれる仮想通貨支持者
- Dan Gallagher(ダン・ギャラガー)Robinhood(ロビンフッド)最高法務責任者:元SEC委員
- Mark Uyeda(マーク・ウエダ)現SEC委員:現行の規制に批判的
ゲンスラー氏が辞任を示唆する発言を行ったことを受け、仮想通貨関連企業の経営者資産が急増。コインベースのブライアン・アームストロングCEOの資産は30%増の約1.7兆円、バイナンスのChangpeng Zhao(チャンポン・ジャオ)CEOの資産は約1.9兆円増の約8.2兆円に。また、XRPも20%上昇した。
業界関係者からは、新体制下での規制緩和とより実務的なフレームワークの構築への期待が高まっている。ゲンスラー委員長の辞任は、仮想通貨業界にとって大きな転換期となり、投資の拡大も期待される。
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情報ソース:SEC