米通貨監督庁(OCC)は12日、暗号資産(仮想通貨)関連企業5社による国家信託銀行の設立を条件付きで承認したと発表した。リップル、サークル、BitGo、フィデリティ・デジタル・アセッツ、パクソスの5社が対象で、連邦銀行システムへの参入が実現すれば、暗号資産業界にとって歴史的な転換点となる。
リップルとサークルは新規設立、3社は州から転換
承認された5社のうち、リップルとサークルは新規設立による国家信託銀行の認可を取得した。
リップルは「リップル・ナショナル・トラスト・バンク」として、ステーブルコイン「Ripple USD(RLUSD)」の準備資産管理や暗号資産のカストディサービスを提供する計画だ。同社CEOのブラッド・ガーリングハウス氏は13日、X(旧Twitter)で「ビッグニュース!リップルがOCCから条件付き承認を受けた。これは大きな前進だ。RLUSDにとっては初めてで、ステーブルコインのコンプライアンスにおいて連邦(OCC)および州(NYDFS)の監督下で最高水準を設定するものだ」と投稿した。
また、銀行業界のロビー活動に対して「暗号資産が同じルールでプレイしていないと不満を漏らしてきたが、ここに暗号資産業界がある。OCCの監督と基準の下に直接置かれ、コンプライアンス、信頼、イノベーションを優先し、消費者の利益のために行動している」と反論し、従来の銀行業界との対立姿勢を鮮明にした。
サークル(USDC発行元)は「ファースト・ナショナル・デジタル・カレンシー・バンク」の名称で、USDC準備資産の管理強化と機関投資家向けカストディサービスを展開する。同社は6月30日にOCCへ申請を提出しており、今回の承認により、ステーブルコイン規制の枠組み「GENIUS法」への対応を進める。
サークルの共同創業者兼CEOのジェレミー・アレール氏は13日、X上で「何年も前に、完全準備制ドルデジタル通貨のビジョン、それを法律に組み込む必要性、そしてこの中核的な目的を持つファースト・ナショナル・デジタル・カレンシー・バンクになる意図について話していた。今日のサークルの国家信託銀行への条件付き承認は、USDCをグローバル金融システムの基盤技術にする上で大きな一歩だ」と投稿した。
一方、BitGo、フィデリティ・デジタル・アセッツ、パクソスの3社は、既存の州信託会社から国家信託銀行への転換申請が承認された。これにより、各社はOCCの監督下に入り、連邦規制に基づく金融サービスを展開できるようになる。
最低資本金1,170万ドル、条件付き承認の詳細
OCCの承認には複数の条件が付されている。リップルの場合、最低1,170万ドル(約18億円)のティア1資本を維持し、そのうち少なくとも50%または585万ドル(約9億円)を適格流動資産として保有する必要がある。また、運転資金の180日分を流動資産で確保することも義務付けられる。
さらに、業務計画からの重大な逸脱や変更には、OCCへの事前通知と書面による承認が必要となる。この条件は、設立準備期間中および開業後3年間にわたって適用される。
OCCのジョナサン・V・グールド長官は声明で「連邦銀行セクターへの新規参入は、消費者、銀行業界、経済にとって良いことだ。新しい製品、サービス、信用源へのアクセスを提供し、ダイナミックで競争力のある多様な銀行システムを保証する」と述べた。
現在、OCCの監督下には約60の国家信託銀行が存在する。連邦銀行システム全体では1,000以上の国立銀行、連邦貯蓄組合が含まれ、総資産17兆ドル(約2,649兆円)、管理資産85兆ドル(約1京3,245兆円)を超える規模だ。
今回の承認により、暗号資産企業は連邦レベルの監督下で信託業務やカストディサービスを提供できるようになり、業界全体の信頼性向上が期待される。なお、リップル(XRP)の価格は14日現在で約2.02ドル(約315円)で推移している。
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