5日公開のYouTube番組「ReHacQ」にて、JPYC株式会社の岡部典孝代表取締役と、MCの西田亮介氏、ひろゆき氏による対談動画が公開された。日本円ステーブルコイン「JPYC」の仕組みから、税制改正の行方、昨今のトークン騒動まで、多岐にわたるテーマが議論された。
既存金融の枠組みを越える、スタートアップによる日本円ステーブルコインの生存戦略
現在JPYC社が発行する「JPYC」は、暗号資産と同じくブロックチェーン技術を使いつつも法律上は「第1号電子決済手段」に分類される。発行額の101%を供託または信託銀行に預託する義務があり、発行元が倒産しても利用者の資産は保護される設計だ。岡部氏によると、現在は信託銀行への預金による保全が中心となっている。
三菱UFJ銀行などが進めている「信託型(第3号電子決済手段)」ではなく、事業者が自らライセンスを取得し発行する「王道」の手法をとることで、他社に依存しない自由度の高い事業展開を可能にしている。
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収益モデルと青ヶ島特区の意図
同社の収益源は裏付け資産の運用益である。現在は流通額が約5億円程度と規模は小さいが、数兆円規模になれば莫大な利益を生む構造だ。岡部氏は、裏付け資産として国債を購入すれば、日銀が抱えすぎている国債を民間が引き受けて安定させることになり、国側にも大きなメリットがある仕組みだと語った。
人口約160人の青ヶ島村に本社を置く理由について、岡部氏は自然環境や漁業権の魅力に加え、法規制面での利点を挙げた。規制強化によって事業が頓挫するリスクを考慮し、人口が少なく「1票の重み」が大きい離島であれば、村ぐるみの合意形成が比較的容易な環境を活かせると説明。万が一の際も「特区」の申請を行うことで、規制を切り抜ける構えだったという。結果的に金融庁から正式に許認可を取得できたため、現時点で特区申請は行っていない。
加えて、離島の住民を雇用すると国から費用の4分の3が補助される制度もあり、インフラも充実している。こうした複合的な要素を活用することで、規制の厳しい金融分野におけるスタートアップの生き残り戦略としていることが明かされた。
20%分離課税化の壁となる「サナエトークン騒動」
番組後半では国内の法規制に言及。現在、暗号資産を金商法の枠組みへ移行し、税率を下げる法改正の動きがある。しかし岡部氏は、現職総理大臣の名前を冠した「サナエトークン」騒動のような無登録営業が疑われる不祥事が、法整備の議論にブレーキをかけると強い懸念を示した。
この騒動に対しひろゆき氏は、関係者間のやり取りを示すLINEの証拠が報じられているため、事務所側が完全に無関係とする主張には無理があると指摘した。岡部氏はこれを受け、第三者が勝手に名称を使用した場合、「自身が関与していないこと」を明確に証明するのが極めて困難であるという暗号資産特有の課題を語った。
岡部氏は番組を通じ、JPYCの供託・信託義務による利用者保護の仕組みを説明する一方、サナエトークン騒動のような事案が法整備の議論に影響を与えかねないとの懸念を改めて示した。
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