Pumpfun公式Xがハッキング被害|トークン発行の虚報をツイート

木本 隆義
11 Min Read

偽トークン「$PUMP」は一時、時価総額500万ドル

ミームコイン発行プラットフォーム「Pumpfun(パンプファン)」は27日、公式X(旧Twitter)アカウント「@pumpdotfun」が不正アクセスを受け、ハッカーがアカウントを乗っ取り、パンプファン公式を装った偽のガバナンストークン「$PUMP」の発売を告知するツイートをしたと公表した。

パンプファンのXアカウントは、フォロワー数が16万人を超える。今回公式アカウントが不正アクセスを受けたと聞くと、さすがに小事ではすまされないと感じる。16万人以上に向かって「オフィシャルトークン出すぞー!」と嘘情報を拡散すれば、夢見がちな個人投資家たちが飛びつくのは想像に難くない。以前から「公式トークンは出さない」と明言していたにもかかわらず、多くの人が「やった、パンプファン公式がついにトークン発行か」と歓喜してしまったのは痛ましい事態である。

偽トークン「$PUMP」は一時、時価総額が500万ドル、日本円換算で7億5千万円を超えたという。数字のインパクトは凄まじいが、結局は無価値のニセモノを高値でつかませて急落させるポンプ&ダンプの典型だ。違法な行為であるにもかかわらず、被害者は「自己責任だろ」で片づけられるのが暗号資産(仮想通貨)の怖いところでもある。

なかには短時間で1,000万円以上の利益を得た投機家もいたという。SOLで偽トークンを購入し、急騰の最中にすばやく売り抜けるという手法だ。このトレーダーの判断が事前のインサイダー情報によるものかは定かでないが、安易に購入したイナゴ層が大火傷をしたことに変わりはない。

パンプファンチームの対応は早かった。公式アカウントを乗っ取られた以上、本人が同じアカウントで否定情報を流すことはできない。そのため、Telegramや創設者の個人Xアカウントなど、さまざまなチャネルから「偽物に気をつけろ」と警告した。X運営との連携もうまく機能し、約1日で公式アカウントを取り戻せた。だが、2FA(2要素認証)やパスワード漏洩の形跡がない点は不可解である。X自体の脆弱性、内部協力者の存在、フィッシング攻撃など、原因究明はこれからの課題である。

フォロワーが多く公式マークが付いているアカウントであっても、ある日突然ハッキングされてまったくの嘘情報を発信し始める可能性がある。仮想通貨は送金後の取り返しが困難であるため、詐欺グループに吸い取られて終わるケースは後を絶たない。SNSや仮想通貨が注目されるほど犯行グループが集まるのは、巨大な市場には常に詐欺師が群がる構図があるからだ。

仮想通貨は一度送金するとキャンセルが難しい。クレジットカードでの支払いとは異なり、「間違ったので取り消したい」という対応が通用しない。だからこそ「公式がトークンを出す」と急に言い出しても、公式サイトや複数のコミュニティで確認するなど、初動での健全な猜疑心がきわめて重要になる。以前に否定していた方針と矛盾する情報であればなおさらだ。

関連:pump.funの使い方ガイド|ミームコインの作成・取引方法を完全図解

仮想通貨の最新情報を逃さない!GoogleニュースでJinaCoinをフォロー!

Share This Article
Follow:
フリーエコノミスト。仮想通貨歴は9年。Liskで大損、BTCで爆益。タイの古都スコータイで、海外進出のための市場調査・戦略立案・翻訳の会社を経営。1973年生。東海中高、慶大商卒、NUCB-MBA修了。主著『マウンティングの経済学』。来タイ12年。
Leave a Comment

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA